構造や立地的に建て替えやリフォームが難しい家もある

構造や立地的に建て替えやリフォームが難しい家もある

リフォームと建て替えどっちが良いのか?で迷っている人に向けてそれぞれの特徴などを紹介しているのですが、家の構造や立地的な問題でリフォームが困難だったり、逆に建て替えが出来なかったりするケースもあるので、そういった特殊なケースについて、ここで解説していきたいと思います。

【目次】建て替えやリフォームが難しい家の特徴と対策
  1. リフォーム向きではない家とは
    1. 構造そのものを変更したい
    2. 構造部分が相当傷んでいる
    3. 間取りを大幅に変更したい
    4. 増改築を繰り返している家
  2. 建て替え向きではない家とは
    1. 道路がない
    2. 再建築不可に指定されている家
    3. 用途地域が「市街化調整区域」の家
    4. 家の近くで遺跡がでたことがある
  3. まとめ

リフォーム向きではない家とは

お金をかければ大抵のリフォームは希望通りに出来てしまいますので、原則リフォームできない家というのはありません。

ただし「お金を惜しまなければ」ということが前提です。そんな大富豪のようなことは一般的に出来ませんよね。ですのでこれから話をすることは一般的な場合です。「金かければ出来るよ!」なんてツッコミは無しでお願いします。

  • 構造そのものを変更したい
  • 構造部分が相当傷んでいる
  • 間取りを大幅に変更したい
  • 増改築を繰り返している家

管理人があげるリフォーム向きじゃない家というのは、上記の4つのパターンのうちどれか1つにでも該当する場合です。

構造そのものを変更したい

リフォームというのは基本、同じ構造のもと行うのが暗黙の了解のようになっています。木造住宅であれば木造のまま、軽量鉄骨であれば同じ工法を用いてリフォームをしていきます。同工法をもちいる理由の1つとして他の工法を組み合わせることで、構造計算が格段に複雑になるからです。

普段、新築の家を建てるときに1階を木造、2階を鉄筋コンクリートで作るなんてことは滅多にありません。そのため、構造計算をする設計士といえども、あまり混合構造の物件を手がけた経験がないのです。

理論上は混合構造でも構造計算は可能ですが、数百万円や数千万円という高額な費用をかけてリフォームするのですから、当然実績があるやり方でお願いしたいものです。

つまりどういうことかと言いますと、「これまでの家は木造で隙間風がひどかったから、気密性の高い鉄筋コンクリート造でリフォームして欲しい」や、その逆のパターン「コンクリート壁は冬すごく寒いので、温もりを感じる木造住宅にして欲しい」という場合です。

これは、無理なリフォームじゃありませんが、ハッキリ言ってほとんど建て替えになってしまいます。

構造部分が相当傷んでいる

構造部分の傷み具合によってはリフォームには向いていません。ここでいう「傷み」とはシロアリに完全に侵食されてしまっているようなケースの話しです。

テレビ番組の「ビフォーアフター」などをみていても、いざリフォームしようと壁を壊してみたら、壁内の柱が1本も使える状態ではなかったという場面は何度となくありました。あれは決して大げさな演出ではなく、実際にシロアリに侵食されている家は、まさにあれと同レベルの傷み方をしています。

結局そこまで柱が傷んでいると、なんとか使える柱だけを残して他を全部新築で建替えるのと大差ありません。ここまでのレベルであればリフォームよりも建て替えを検討する方が効率的だと思います。

間取りを大幅に変更したい

次は、もう少し身近な問題で考えてみたいと思います。リフォームをする目的として「間取りを大幅に変更したい」という人は少なくないと思います。しかしこれも構造によってはまったく希望するような間取りにできないことがあります。その代表的なものが壁式パネル工法(2×4など)です。

8帖のDKと隣にある8畳の居間をリフォームすることで、16帖以上の広いLDK空間にしたくて大規模なリフォームをすることに踏み切ったのに、いざリフォーム会社の人に下見に来てもらったら「木造住宅と言っても2×4住宅ですから、DKと居間の間にある壁は取り除けませんよ」と言われてガッカリしてしまうなんてことも珍しくありません。

それだったら、せめて「大きな窓をつけて日当たりが良くて明るい部屋にしたい」という希望を出しても、これまた「それも2×4なので窓をこれ以上大きくするのは無理です」と、アッサリ言われてダブルショックなんてことにもなりえます。

こういう状況になると「全然希望する間取りにすることができないのなら、リフォームなんて止めた」と、考えを変えてしまう人もいるはずです。木造住宅だから間取りの変更も容易だろうという考えは間違いで、同じ木造でも軸組工法と壁式パネル工法では、雲泥の差があるということは覚えておきましょう。

増改築を繰り返している家

そして最後は、これまで増改築を繰り返している家です。子供が産まれたので増築した。洗濯物を干すスペースがなかったので二階にベランダを勝手に作ってしまった。というように、これまで何度も増改築している家というのはリフォーム向きじゃない可能性が高いです。

増改築するたびに信頼できる業者に依頼していれば良いのですが、昔のお父さんはちょっとした大工仕事くらい自分でやってしまう人も多く、業者に依頼せずに勝手に自分で増改築している家というのは珍しくありません。

こういったケースでは役所にリフォーム後の申請をしておらず、結果としてその家は違法建築となってしまっている可能性が高いです。

そうなると、今後ちゃんとした業者に依頼をしても、すでにもう手の施しようがないほど違法な箇所が次々と発覚して、どうにもできない状態だったりします。こうなってしまうと、リフォームどころか相場の半値でも売却することが難しいケースもあるので、結果として建て替えをするしか方法がなくなります。

建て替え向きではない家とは

「自分の家を建て替えできないなんて!そんな馬鹿な話があるわけない」と憤慨される人をこれまで何人も見て来ました。お気持ちはわかります。だって土地も家も自分の名義なんですから、それを自分が壊そうが建て替えしようが勝手じゃないか。と普通だったら誰でもそう思いますよね。

でも実際に、自分の土地だろうが家だろうが、建て替えできないケースというのは存在しますし、それが決して凄く珍しい特殊なケースという訳でもありません。

道路がない

いろいろな理由で建て替えできない家はありますが、やはり圧倒的に多いのが道路の問題です。厳密にいえば「接道の問題」ということになります。建て替えできない家の9割くらいは、この道路問題というケースが多いのじゃないでしょうか。

今の建築基準法では、家を建てる土地が4m幅の道路に2m以上接していることが条件となっています。

セットバックとは?
4.0mに満たない道路幅を自分の土地を道路として提供すること。

上の画像は道路幅が2.2mのセットバック例になります。道路の半分から2m確保しなければいけないため、家を建てる場合は道路から0.9m空けなければいけないことになります。

この写真は管理人がハウスメーカーの営業をしていたとき、実際に建て替えの相談を受けたお客さまのケースです。

もちろんこのような道路の場合でも「セットバック」などの特殊な方法を使えば家を建て替えることはできるのですが、この写真の場合は土地が狭いためセットバックするのも厳しい状況でした。

すぐ近くに築5年未満の綺麗な戸建て住宅があったので、飛び込みでそちらの住人に話を聞きにいったら、やはり建て替えは無理と言われて大規模リフォームで対応したということでした。

そうなんです。建て替えは法律的に無理なんですが、リフォームであれば可能なんです。そのため柱を数本残して、法律の抜け道のような建て替えで対応するしかありません。

再建築不可に指定されている家

再建築不可に指定されていることで建て替えができない家もあります。例えば「家のすぐ裏に壊れても不思議じゃない崖がある」というように災害指定区域に指定されていると建築を制限されてしまうことがあります。

抜本的に、市区町村などの自治体が規制しなければ危険が及ぶ可能性が高い箇所などで、このような指定区域を受けることがあります。

崖から数メートル建物を離せば建築OKの許可がもらえたりすることもありますが、土地が狭いと崖から数メートルを離さないと建物が建てられないのは正直痛いです。

用途地域が「市街化調整区域」の家

用途地域が「市街化調整区域」であれば家を建てることはできない。という話しは皆さん知ってる人も多いかと思います。

しかし市街化調整区域内であっても、既住者が既存の住居を建て替えるのであれば可能と言われています。つまりそこに代々住んでいる家族が古家を建て替えるのはOKなんです。とここまでは、良く知られている話です。

しかしこれってそう簡単な問題じゃないんですよね。あまり知られていませんが、最大のネックになるのは住宅ローンなんです。現金支払いだったら問題ありませんよ。でも住宅ローンを利用して建て替えを考えているのであれば、相当苦戦する可能性があります。理由は銀行側が市街化調整区域への住宅ローン融資に超消極的だからです。

理由は次の2つです。

  1. 市街化調整区域だから担保価値が低いので満額融資は受けられない
  2. 支払い滞納による差し押さえになったとしても、安くでしか売れないから

言われてみれば「確かにお金を貸す銀行側にしてみればそうだよな」って思いませんか?結局希望するような住宅ローンを受けることができずに、建て替えを断念したという話しはよく聞きます。

家の近くで遺跡がでたことがある

これはちょっとレアなケースですが、全ての人に降りかかっても不思議じゃない例なのであえて紹介しておきます。

いざ建て替えをしようと工事を始めてみたら、その土地から重要文化財らしきものが発見されてしまったとします。こうした文化財を発見した場合はただちに自治体に届け出をしなければならず、それがどれほど重要な文化財(遺跡など)であるか調査をすることになっています。

ここからが驚くことなのですが、実はその調査費用は、土地の所有者が負担しなければならないんです。

補助金がでる自治体もありますが基本はその土地の所有者の実費なんです。当然お金がなければ調査はできませんよね。でも調査ができないということは「その土地に建物を建ててもいいですよ」という許可がいつまでも降りないことを意味しています。

ちなみに、調査費用は数百万に及ぶこともありますし、期間は最短でも2ヶ月~3ヶ月はかかります。

実際に管理人がハウスメーカーで営業をしていた時、焼き物の街として有名な場所での建て替え時、この文化財に引っ掛かったことがありました。なんとかその家は裕福だったので調査費用を市と分担して、すぐに調査して工事を再開することができました。

何かしらの文化財や遺跡が埋蔵されている可能性があると指定されている土地は日本全国で40万ヶ所以上もあるそうなので、決して他人事ではない話しだと思います。

とくに過去近隣で何らかの文化財が発見されている地域は要注意です。

まとめ

このように、リフォームや建て替えが困難な状況の家もあります。ただ冒頭でも言ったように大抵の場合は費用は掛かりますが、希望通りのリフォームや建て替えができるように法の抜け道のようなものがあります。

そこまでしてリフォームしたり建て替えをする必要があるのか?という疑問は残りますが、まずは自分が今住んでいる家や土地について調べてみてからリフォームや建て替えを視野に検討するのが良いともいます。

そして、何かしらの理由でリフォームの制限を受けたり、建て替え不可と言われたとしてもすぐに諦めることはしないでください。

最低でも3社くらいに相談をしてみて、その3社すべてが不可というのなら仕方ありませんが、たった1社のリフォーム業者やハウスメーカーにそう言われたからといって、それを全て信じる必要はありません。

別の業者や建築のプロである建築士などに相談すれば、なにか別の解決策を提示してくれる可能性は高いと思います。

今回紹介した事例のなかで、個人的に深刻な問題だと思うのは以下の3つです。

  • 増加築を繰り返しており、建築申請もしておらず違法建築となっている家
  • 規定の接道がなく、建て替えることができない家
  • 市街化調整区域内にあり、住宅ローン借入で苦戦している家

このような場合、まずは少しでも多くの業者に相談することです。

そこで利用して欲しいのがネットの一括見積り依頼や相談ができるサイトです。以下のようなサイトであれば、一度の申込で複数の業者に相談を投げかけているのと同じです。きっと良いアイデアをもった業者が名乗りをあげてくれるはずです。