狭い土地(狭小地)に家を建てる時の注意点と施工事例

狭い土地(狭小地)に家を建てる時の注意点と施工事例

一般的に注文住宅を建てるのであれば、土地の広さは50坪~60坪くらいを想定する人が多いのではないでしょうか。分譲団地などの、1区画の土地面積の多くも、50坪~60坪前後となっています。

しかし都心部になればなるほど、販売されている土地も少なく価格も驚くほど高額になります。そのため、都心部で注文住宅を建てるとき、なるべく費用を抑える目的として「狭小地(きょうしょうち)」を購入する人もいるでしょう。

狭小地(きょうしょうち)とは
明確な規定はなく地域によって広さの目安が違いますが、一般的に30坪以下の土地を狭小地と呼ぶことが多く、都心部では25坪以下や20坪以下の土地のことを狭小地と呼んでいます。

また費用の問題でなく、どうしてもマイホームを建てたい地域に売土地がなく、仕方なく狭小地を購入する人だっています。それくらい都心部の土地事情は切迫した状態となっています。

そこで今回は、この狭小地に注文住宅を建てる際の注意点や、おすすめの建築事例などを紹介します。

狭小住宅を建てる際に注意すべき11ヶ条

狭小地に狭小住宅を建てる際、いくつか注意しておくべきポイントがあります。

  • 建築費の問題
  • 防音の問題
  • 敷地スペースの問題(建築率や容積率)
  • 防災の問題
  • 動線の問題
  • 収納の問題
  • 隣家との距離に注意
  • 窓の位置に注意
  • 駐車場の問題
  • ルーフバルコニー
  • メンテナンスの問題

建築費の問題

狭小住宅は建築コストが高くなるという話を聞いたことがあると思います。特にローコスト住宅の場合など、狭小住宅にすることで、坪単価はかなり上がることが予想できます。

ただ建築費が安く済みそうという理由で、ローコスト住宅を選ぶのではなく、しっかり見積もりを取り、複数社で比較検討することが大事です。

狭小住宅の場合はとくにローコスト住宅よりも、地元工務店や設計事務所に依頼した方が安上がりになることがあります。

建築コストが高くなる理由は、設備品が同じであったり、工事の難易度などが関係しています。

坪単価50万円の家だとして、基本的に40坪の家も20坪の家も、使用するキッチンやバスルームなどは同じ製品です。坪数が小さくなれば設備品の原価回収が難しくなるので坪単価を上げて補うしかありません。

また、敷地が狭いことで足場設置や上棟にも人手と日数がかかってしまうことがあり、単純に人件費もアップしてしまう恐れがあるからです。

タマホームさんを例にしますが、近頃3階建てにも対応してる狭小住宅向きの商品(木望の家)が販売開始されました。

基本的な仕様は人気の「大安心の家」と似たような感じなのですが、坪単価では10万円~20万円ほど高くなっています。3階建ての狭小住宅はそれほど建築コストが高くなるという良い例ではないでしょうか。

同じくローコスト住宅として、人気のレオハウスもそうです。レオハウスの坪単価は32.8万円となっていますが、「※この坪単価は施工面積115.71㎡(35坪)以上からの適用となります」という注意書きがあります。つまり、35坪以下の狭小住宅では坪単価も高くなるということです。

防音の問題

狭小住宅を建てるときに気をつけたいのが騒音問題です。「隣家からの音を遮断する」、「自分の家から音を漏らさない」という2つの意味でも防音対策は必要不可欠です。
狭小地に住宅を建てるのですから、当然両隣との距離は必然的に近くなります。場合によっては壁と壁の幅が1mもないことだって珍しくありません。

騒音問題は、近隣トラブルを招く原因の上位にランクインしており、狭小住宅だとさらにトラブル発生率が高まります。せっかく格安で手に入れることができた土地でも、騒音対策で費用がかさんでしまっては本末転倒です。

家を建ててからでも防音対策は可能ですが、費用的にみて建築段階で防音対策しておくほうが当然安上がりですし、高い効果が期待できます。建築後の防音対策は費用もかかりますし、できることも限られてくることをしっかり覚えておきましょう。

またピアノや大音量で音楽を聴くのであれば、地下室をつくれば良いのでは?と安易に考えている人も多いのですが、地下室というのは建築コストが相当掛かりますし、そもそも狭小地ではコンクリ用の重機が入らない恐れもあります。

どうしてもピアノなどを置きたいと考えているのであれば、地下室ではなく半地下のようなつくりにすることで、建築コストをかなり抑えることができるようになります。

敷地スペースの問題

どのような土地であっても「自分の土地だから、自分の好きな家を建てることができる」と考えるのは間違いです。土地には必ず制限が設けてあります。とりわけ家を建てるときに気をつけたいのが「建ぺい率」と「容積率」の2つです。

建ぺい率…土地面積に対して、建てることができる建築面積のこと
容積率…土地面積に対して、建てることができる延べ床面積のこと

この建ぺい率と容積率は、都市計画の用途地域ごとに定められています。

例えば建ぺい率60%、容積率100%という地域に50坪の土地をもっているとした場合、建てることができる家の一階の坪数は30坪(50坪×60%)、家の延床面積は最大50坪(50坪×100%)となります。

これを20坪という狭小地に置きかえて考えてみましょう。建てることができる1階の建坪は最大12坪、述べ床面積は最大でも20坪までの家しか建てることができません。

しかし、これが建ぺい率60%、容積率200%という用途地域だったらどうでしょう。1階の建坪は同じ12坪が最大ですが、家全体の延床面積は最大40坪(20坪×200%)までとなります。

延床面積が20坪の家と40坪の家では広さが倍も違ってきます。これだけ違えば2階建て住宅だけでなく、3階建て住宅だって計画できるようになります

用途地域は土地を購入する時点で調べることができますので、狭小地の購入を検討するときは、必ずこの用途地域ごとに定められている「建ぺい率」と「容積率」を真っ先に確認してください。

防災の問題

狭小住宅というのは、どうしても縦長の住宅になりやすいです。地震などの揺れに対して弱そうに見えてしまいますよね。せっかく苦労して手に入れたマイホームが地震や台風などの災害で壊れてしまっては話になりません。

ですので狭小住宅は、より地震などの災害対策をしっかりとしておかなければならず、そうなると当然それが建築コストへ乗り掛かってきます。

耐震強度を高めようと思えば、それだけ建築コストが高くなり、せっかく格安の土地を購入した意味がなくなります。

地震につよい家を心がけなければならないのは当然ですが、そこをどれだけ建築コストで抑えることができるのかというのが、業者選びの指標にも繋がってきます。

狭小住宅は木造のほうが柔軟性が高く、あらゆる対応が可能ですが強度という面では不安です。かといって耐震強度が強い鉄骨やRC造だと、さらに建築コストが高くなってしまうので悩ましいところです。

動線の問題

マイホームというのは、限られた空間内で生活スペースを利便性など考慮して作らなければなりません。それが狭小住宅となればなおさら大事になってきます。生活動線が悪い家は住みづらく、家族団らんもままなりません。

狭い空間で上手に生活動線を確保するには、かなり間取りの工夫が必要となります。なるべくなら狭小住宅の建築実績が多い業者を選ぶことで、あらゆる狭小住宅の知恵を提示してくれます。

その中から自分たちのマイホームに取り入れたほうが良いもの、取り入れる必要がないものを取捨選択していくというのが、一番理想的なスタイルだと思います。

狭小住宅に多い、一階は駐車場と水まわり(トイレや洗面所と浴室など)、二階はリビングダイニングキッチン(LDK)、3階は各自の部屋というように安易に考えるのではなく、生活動線を意識した間取りを考えるようにしてください。

この間取りだと、一階で洗濯したものを屋上のルーフバルコニーまで運んで干さなければならず、あまり良い動線の家だとは思えません。

収納の問題

狭小住宅を少しでも広くみせるための工夫の1つに、あまり間仕切り壁を作らないという工法があります。

たしかに間仕切り壁を少なくすれば、開放感のある家づくりができます。ただその反面、壁がないということは、それだけクローゼットや収納となるスペースが少なくなるということです。

そのため狭小住宅では、収納スペース不足に陥りやすく、それが居住者の不満へと繋がることが多くあります。

少しでも家の中を広くみせるために壁を少なくする。その結果、収納スペースが減ってしまう。そうなると収納できない荷物が部屋内に散乱しがちになり、より一層部屋内を狭く感じることにもなります。

せっかく家を広く見せるための工夫が、逆に部屋を狭くしてしまう結果にもなりかねませんので、室内を広く見せることばかりに気をとられず、収納スペースの確保もしっかり考えておくようにしましょう。

狭小住宅の収納としては「壁面収納」、「階段下収納」、「小屋裏収納(ロフト)」などが一般的ですが、狭小住宅を多く手がけている住宅会社なら、さらにいろいろな収納アイデアを提案してくれるはずです。

隣家との距離に注意

狭小住宅の計画をされている方なら知ってるかと思いますが、日本国では隣家との距離を一定以上保つように法律で決められています。

正確には民法234条にて定められており、「境界線から建物までは50センチ以上の距離を保たなければならない」とあります。

どんなに土地が狭くても、境界線から建物の外壁まで50センチ離さなければなりません。

もしこの50センチという決まりを守らず、家を建てようとした場合、隣家からクレームがあれば工事は中止し、変更してからしか建築再開できないことになっています。

ただし例外もあります。例えば第一種低層住居専用地域だったり、第二種低層住居専用地域にある土地において条例等で決められている場合。さらに地区協定などによって慣習的に隣家との距離を承諾しているような地域は例外として民法234条は適用されません。

つまりわかりやすく解説すると、まわり近所の家も隣家との距離50センチを守ってなければ、あなただけが守る必要はないということです。

窓の位置に注意

狭小地だと、どうしても隣家との距離が近くなります。場合によっては隣家との距離が1mもない場合もあり、そうなると気を配らなければならないのが窓の位置です。

窓の位置が隣家と被ってしまうと、意図せず生活空間が丸見えになってしまい、お互い気まずい思いをしなければなりません。

これはどう考えても、後から家を建てるほうが気を使う必要があり、窓の位置をズラしたり、中が見えない曇りガラスにすなどの対策を講じる必要があります。隣家との距離が近いからこそ、よりお互いのプライベートには配慮する家づくりを心がけてください。

このようなあまりネットなどにも書かれていないポイントに対して、きちんと配慮ができてる図面を提示してくれるかなどで、狭小住宅建築の経験や実績を伺い知ることができます。

駐車場の問題

20坪弱の狭小地だが、駐車場もほしい、広い家がほしいというのは難しい問題です。駐車スペースを確保しなければならないぶん、どうしてもその分の建築面積が削がれてしまいます。

駐車場をあきらめるか、それとも家の広さを妥協するか、何かを得ようと思えば、何かを捨てなければなりません。とくに狭小住宅の場合は、それが如実に現れてくるでしょう。

また、1階部分にビルトインガレージを希望する人も多いのですが、ビルトインガレージは建築費も高くなりますし、家の強度的にみても必ずしもプラスとは言い難い部分があります。

強度を高めるためには、さらなる建築コストが必要となり、せっかく土地を安価で購入できた意味がなくなります。

ビルトインガレージの建築コストは、おおよそ2坪程度の価格を試算しておくのが良いです。坪単価40万円なら、ビルトインガレージの費用はおよそ80万円前後だと考えてください。

敷地面積の問題でどうしても仕方ないときはあれですが、なるべくなら費用的な問題、家の強度の問題を考えると、ビルトインガレージではなく普通に駐車スペースを作ることをおすすめします。

ルーフバルコニー

狭小住宅で人気なのがルーフバルコニーです。下階の屋根部分をバルコニーとして利用することをいいます。わかりやすく言うと屋上がある家みたいに思って頂くのが良いかもしれません。

お気付きかもしれませんが、狭小住宅の多くは隣家との隙間が狭いため、一般的な一戸建て住宅ように洗濯物を干すスペースがありません。

そこで重宝するのがこのルーフバルコニーです。洗濯物を干すスペースとして活用することもできますし、それなりの広さが確保できてれいば家族揃ってBBQしたり、花火大会を鑑賞するスペースにもなります。

一戸建て住宅でいうところの庭替わりになってくれるのが、このルーフバルコニーというわけです。そのため狭小住宅の多くが、ルーフバルコニーを採用しています。

メンテナンスの問題

隣家との距離の項目でも話しましたが、隣家との境界線から建物までは50センチ以上離す決まりになっています。この50センチという隙間があればぎりぎりエアコンの室外機や給湯器を設置することができます。

ただし隣家との距離幅が少ない狭小住宅では、あらゆる面で余計な出費がかかることも覚悟しておかなければなりません。

例えば、築10年後とかに外壁塗装の塗り替えをするとなっても、当然隣家との距離がないため普通の作業では終わらせることができないので、追加費用が発生します。
これはエアコン1つ交換する場合も同じだったりします。

なるべくなら、人が1人ギリギリ入れるくらいのスペースを確保するのではなく、最低でも脚立を立てることができるくらいのスペースを確保しておくのが理想です。

【施工事例】狭小住宅はハウスメーカーより、工務店や設計事務所が得意

インターネットなどで施行事例などを見てもわかるように、最近のほとんどの狭小住宅は、積水ハウスや大和ハウスのような大手ハウスメーカーではなく、○○工務店や○○建築事務所となっています。

大手ハウスメーカーでも狭小住宅を建てれないことはありませんが、建築費や柔軟性を考慮すると、どうしても大手のハウスメーカーよりも、地元工務店や設計事務所に魅力を感じてしまうからかもしれません。

狭小住宅建築の経験値

もし狭小住宅を考えているのであれば、より狭い土地で狭小住宅建築の実績が多い業者を選ぶことをおすすめします。

25坪の土地に狭小住宅の建築を考えているのであれば、さらに小さな20坪くらいの土地に建築実績がある業者を選ぶほうが、狭小住宅に対する様々なアイデアをもっているので、考えもしなかったような提案をしてくれることがあります。

自分の要望をはっきり伝えることが大事

狭小住宅の建築で一番大事なことは、自分たち家族の要望をはっきりと伝えることです。

ただしアレもコレもというわけにはいきません。ですので一番譲れない部分を明確に伝えるようにしてください。家族全員がゆったり過ごせるリビングを希望したり、各部屋の広さを重視したいなど、家族によっていろいろと要望が違ってくると思います。

もちろん価格優先であったり、動線重視なんて要望でもかまいません。とにかく何を重視するのかをはっきりさせておくことが、狭小住宅建築では一番大事になります。

まとめ

管理人もハウスメーカーで営業マンをしていたとき、狭小地に狭小住宅を建てたことが何度かあります。正直な感想としては、一般的な戸建て住宅を建てるのと比べ、狭小住宅はすごく大変です。

あらゆる法令を調べなければなりませんし、施主の希望を最低でも数個は諦めてもらうのが日常茶飯事でした。自分の土地があるから、その土地に入る家だったら何でもかんでも建てられるという訳ではありません。

今回紹介した項目は、あくまでも狭小住宅を建てるときの、基本的な注意点ばかりです。もっと言えば、土地購入時から気をつけなければならないポイントも多数あります。

それに、これは管理人の個人的感想なのですが、売りに出されている狭小地の多くが、隣家との関係があまり良くないことが多いので、購入前に必ず隣家に挨拶に行くなどして関係を確認しておくようにしてください。購入してから隣家との関係が悪いことがわかってもどうしようもありません。

狭小地へ狭小住宅を建てる場合、一筋縄でいかないことだらけなので、必ず狭小住宅の建築実績がある業者に依頼することを強くおすすめします。

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狭小住宅が得意な業者もたくさんありますので、複数社から比較検討しながら選ぶこともできる点も大きいと思います。利用できるサービスをを上手に使って、後悔しない家づくりをしていきましょう。

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