偽建築士に騙されないためのチェックポイント

2018年5月、資格を持たない「なりすまし建築士」のニュースが大きく取り上げられました。偽建築士に騙されないためには主に以下の3つの項目をチェックしてください。

  • 建築士免許の確認
  • 建築士名簿の確認
  • 登録簿の確認

確認する際のポイントや偽建築士による被害例を紹介しているので、騙されないように確認しておきましょう。

【目次】建築士をチェックする際のポイント
  1. 偽建築士を見破る方法と注意点
    1. 建築士免許の確認
    2. 建築士名簿の確認
    3. 登録簿の確認
    4. 確認するときの注意点
    5. 資格免許証を偽造している場合もある
  2. 偽建築士による被害例

偽建築士を見破る方法と注意点

信じられないかもしれませんが、建築業界には登録をせず建築事務所のふりをして仕事を受ける「偽建築事務所」や、資格を持っていないのに一級建築士の肩書を語り、建築業務を請け負っている「偽一級建築士」が、昔から存在しています。

何もわからない素人からしてみれば、建築士事務所で「一級建築士の資格を持っているので安心してください」と言われれば、疑いませんよね。

そこで、建築士を見抜くいくつかのポイントがあるので、以下で紹介していきます。

建築士免許の確認

建築士の免許証には運転免許証のようなカードサイズのものと、A4サイズの証明書タイプの2種類があります。2012年に証明書タイプの一級建築士資格証を偽造し、一級建築士になりすまして仕事をしたり、建築士事務所を開設していた偽建築士がニュースになりました。

その対策として、以前はA4サイズの証明書が一般的でしたが、現在は以下のようなカードタイプの免許証が主流となっています。大きさは運転免許証のサイズほどで、本人の顔写真が入っており、誰でも簡単に本人確認ができます。

一級建築士免許証

※引用元:公益社団法人「日本建築士会連合会」

また資格取得が古い建築士の中には、いまでも紙タイプの証明書を事務所に提示してるケースがありますが、そういった場合でも、免許証タイプの証明書の提示を求めることをおすすめします。

一級建築士証明書

※引用元:公益社団法人「日本建築士会連合会」

免許証の提示は義務付けられているため、一級建築士免許を本当に持っている場合、提示をお願いしたとしてもスムーズに提示するはずです。

カードタイプの免許証で顔も確認でき、確実に本人だとわかれば安心ですが、証明書の場合や免許証の確認だけでは不安だという人は「一級建築士名簿」で確認することをおすすめします。

建築士名簿の確認

ここからは建築士名簿の確認方法について紹介しておきます。名簿の確認は、実は誰でも無料で簡単にできます。日本建築士連合会では偽建築士をなくそうという取り組みを行っており、電話で簡単に建築士の資格の有無を確認することができます。

また、都道府県の「建築士会」でも建築士名簿を一般の人向けに公開しており、誰でも確認することができます。電話での問い合わせも可能で、建築士の「氏名」と「登録番号」が分かれば、資格があるかどうかを教えてくれるので、手軽に調べることができます。

各都道府県の建築士については、日本建築士連合会のサイト内で検索できます。

※参考:日本建築士連合会

知ることができる内容

  • 登録番号、登録年月日
  • 氏名、生年月日、性別
  • 一級建築士試験合格年月、合格書番号
  • 処分履歴
  • 法定講習履歴
  • 構造、設備設計一級建築士証の番号、交付年月日、返納した者にあっては返納年月日

※メールによる閲覧の申請はできません。
※電話での問い合わせの場合は、一級建築士の資格の有無に関してのみ回答してくれます。

登録簿の確認

建築士の資格の有無の確認だけではなく、「登録簿」で建築士事務所もきちんと登録がされているかも確認しましょう。建築士事務所の登録簿は、各都道府県の「建築士事務所協会」で閲覧できます。

登録簿の閲覧は、実際に建築士事務所協会に行き、閲覧申請書を記入してからになります。閲覧時間が各自治体により異なるので注意してください。

基本の情報は無料で調べることができますが、登録簿のコピーや写真撮影などはできないので注意しましょう。また、有料の登録簿閲覧の方法もあり、閲覧申請書が受理された後、3営業日以内に「登録簿の写し」を発送してくれます。

通常であれば会社のホームページやパンフレットなどの会社概要に「建築士事務所」の登録番号が記載されています。この登録番号の記載がなければかなり怪しいです。

そして、登録番号があるからと言ってまだまだ安心してはいけません。建築士事務所の登録がされているかどうかまで、しっかり確認しておきましょう。

確認するときの注意点

2018年5月、実在する建築士の名をかたり、住宅を含む55の建物を設計していたというニュースがありました。このように名前や建築事務所名を偽造している可能性もあります。

実は、建築士事務所を開設する際に他に一級建築士の資格を持っている人が「管理建築士」として雇われていれば、代表者が建築士の資格を持っていなくても大丈夫なのです。しかし、会社に実在しない人の資格の名義を使って事務所を開設しているところもあります。

また、二級建築士の資格しか持っていない会社では、一級建築士の資格を持っている人に名義を貸してもらって「一級建築士事務所」をかたっていることもあります。

二級建築士と一級建築士の場合、できる仕事内容も変わってくるため、一級建築士としての業務内容が必要になってきときに、一級建築士の名義を借りればその仕事内容を行うことができます。

これを「名義貸し」といいます。もちろん、このような名義貸しは法律違反となります。建築士の名前や、事務所も本当の名前をかたっているとは限らないのでしっかり注意して調べてみましょう。

資格免許証を偽造している場合もある

本当にタチが悪いのが、建築士の資格免許証を偽造しているケースです。ただ名前を語っているだけであれば、これまで紹介しているように、免許証の提示を求めることでなりすましを見破ることもできます。

しかし、その免許証ごと偽造されてしまっては、もう素人にはどうすることもできないかも知れません。

そこで怪しいなと感じたとき、最後の手段として本人の運転免許証を確認させてもらってください。なりすまし犯も、建築士免許の提示を求められることまでは想定しているかもしれませんが、車の運転免許証の提示までは想定していないはずです。

そこで建築士免許と運転免許の氏名や写真が違っていればアウトです。

偽建築士による被害例

偽建築士による被害は残念ながら全国にたくさんあります。決して対岸の火事などではありません。

事例1

大阪にある大手の建築事務所の社員、三重にある個人事務所の代表、新潟にある大手ハウスメーカーの社員の3名が、実在する一級建築士の免許証の番号を勝手に利用し、名前と生年月日だけ自分のものに偽造して仕事をしていました。

なんと、大手ハウスメーカーの社員は1996年から2002年までの間に約760件も設計に関わったそうで、この数を聞くととても他人事ではなくなりますよね。

事例2

奈良では、同市内の設計事務所に一級建築士の免許証を偽造して提出し、市立中学校の耐震工事の設計をしていたことが発覚しました。

本来、一級建築士でなければ学校などは設計できないにも関わらず、免許を偽造、しかも耐震工事という重要な業務をしていました。

事例3

また、自分が一級建築士だと偽り、設計などに携わっていたとして、逮捕されている人もいます。悲しいことに「二級建築士では仕事が取りにくかった」などと供述しています。

手口は、同じ事務所の既に亡くなられていた一級建築士の方の免許証を修正テープで消して、自分の情報に書き換えるなどの偽造をしていました。

91件の物件に関わり、その中でも一級建築士の資格が必要な物件は6件もありました。しかし残念なことに、ほとんどの物件が建築士法の時効を迎えています。

これらの被害にあった物件などは「安全には問題ない」とされていることが多いですが、何を基準に安全なのかも実際はわかりませんし、もしもこれが自分のマイホームだった場合、不安な気持ちで過ごさなければなりません。

「自分だけは大丈夫」と思わず、泣き寝入りするしかない状況を避けるためにも、必ず免許証や名簿を確認しましょう。

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