戸建ての新築と中古の価格差はどれくらいなのか?

戸建ての新築と中古の違いを比較!価格差はどれくらいなのか?

マイホームを検討していて戸建ての「新築」と「中古」で迷っている人向けに、どれくらい価格差があるのか解説します。

地域や建物の状態によって異なりますが、目安としては約600~900万円の価格差があります。

メリットが多いと思われる新築にも当然デメリットがあります。両方のメリットデメリット公平に解説するので、どちらがいいのか悩んでいる人は参考にしてもらえばと思います。

戸建ての新築と中古の価格差を比較

1年間で新たに建築される新築一戸建ては約11~12万戸で、売買が成立する中古一戸建ては約7万戸くらいだと言われています。

中古住宅より新築の方が多いのですが、特に中古住宅の流通量が多い地域なのが東京や大阪などの都心部です。

そこで、今回は首都圏、近畿圏、中部圏での新築と中古住宅の平均価格についてまとめてみました。

2017年 新築住宅 中古住宅 価格差
首都圏 4,069万円 3,485万円 584万円
近畿圏 3,073万円 2,321万円 752万円
中部圏 3,093万円 2,210万円 883万円

2018年 新築住宅 中古住宅 価格差
首都圏 4,069万円 3,485万円 662万円
近畿圏 3,073万円 2,321万円 791万円
中部圏 3,093万円 2,210万円 908万円

出典:https://www.kantei.ne.jp/report/98hakusyo-kinkiH.pdf

最初に軽く触れましたが、価格差は約600~900万円になります。その他に注目したいのが、2017年度に比べて2018年度の価格が上昇していることです。

原因は2020年東京オリンピックの影響によるもので、新たな競技場の建設、観光客が宿泊するためのホテルなどの建設が急増しています。

そのため、土地価格の上昇以外にも建築資材の不足による材料費の高騰、職人さんの人手不足による人件費もアップしています。

資材や人件費は建築費に反映され、オリンピックとは関係ないように思える個人の住宅にも大きく影響を及ぼしています。

新築価格の上昇に伴い中古住宅を購入する人も増え、結果的に中古の価格も上昇しているというのが現状です。

オリンピックが終了すれば、徐々に適正な価格へと戻ることが予想されていますが、5年~10年くらいは掛かるという意見が多いようです。

新築一戸建てのメリットデメリット

一戸建て住宅を検討する人の多くが、できれば新築で建てたいと思っているのではないでしょうか。

ここでは、新築一戸建てのメリットやデメリットを中古と比較しながら考えていきたいと思います。

メリット

  • 間取りを自由につくれる
  • 将来的なメンテナンス費用を抑えることができる
  • 資産価値が高い
  • 10年保証がついている
  • 工事を自分の目でチェックできる

間取りを自由につくれる

建売住宅は例外ですが、注文住宅で家を建てるなら、自分たちの好きなように間取りをつくることができます。

「30帖の広いLDKが欲しい」
「家の中に中庭が欲しい」
「地下にカラオケが楽しめる防音ルームをつくりたい」

新築だったら、このような希望にも応えてくれます。世界に1軒だけのオーダーメイド住宅をつつくれるのも、新築だからこそです。

将来的なメンテナンス費用を抑えることができる

キッチンやお風呂などの設備類が最新式なので、光熱費の節約はもちろん、故障などによる突発的な負担を減らすこともできます。

また中古住宅に比べ外壁や屋根の塗装、シロアリ対策などのメンテナンス費用についても、当初は心配する必要がありませんので安心して暮らすことができます。

資産価値が高い

中古住宅よりも新築のほうが住宅ローン審査も有利になります。

ローン審査は年収や仕事など個人の属性で判断されると思っている人も多いようですが、それは誤解です。

個人の属性も大事なのですが同じくらい重要視されているのが、融資対象となる物件の担保価値です。

住宅ローンを滞納するようなことがあれば金融機関は物件を差し押さえて融資金を回収しなければなりませんので、担保価値という面では新築の方が高く評価されることは言うまでもありません。

10年保証がついている

注文住宅と建売住宅、どちらも新築であれば法律で10年保証が義務付けられています。

最近は付加価値として20年や30年といった長期保証を売りにしているハウスメーカーもありますが、最低でも10年間の保証がついているのは購入する側としては大きなメリットです。

中古住宅の場合、業者が売主となっている物件でも2年保証が一般的で、売主が個人の中古住宅となれば1ヶ月~3ヶ月程度の瑕疵保証しかありません。

築20年を超えているような中古住宅であれば、価格は安いものの保証なしの現状渡しとなっているのが通例です。

工事を自分の目でチェックできる

完成している建売住宅は別ですが通常の新築一戸建てであれば、基礎工事から自分の目でチェックすることができます。

自分のマイホームが建てられていく姿を見られるのもこの時だけです。

本来は設計図面通りに施工されているのかチェックできると一番良いのですが、残念ながら素人にそこまでの知識はありません。

ですが、ホームインスペクションを利用することで、建築途中の状態で図面通り施工されているかチェックしてもらうことができます。

デメリット

  • 価格が割高
  • 建物以外に費用が掛かる
  • 入居までに時間が掛かる
  • 難しい土地探し

価格が割高

新築住宅の建築費には、建物をつくるために必要な木材や職人さんたちの人件費以外にも様々な費用が含まれています。

代表的なものが、宣伝広告費や住宅展示場の維持費です。もちろん営業さんや設計士さんたちの人件費もその1つです。

1つの住宅展示場を維持するのに掛かるコストは約500万円と言われ、維持費を負担しているのはその住宅会社で家を建てるお客さんです。

仮に1ヶ月で3人のお客さんから契約をした場合、1人のお客さんの負担は170万円ほどになります。

さらにテレビCMを流すにも莫大な費用が掛かるので、それらが建築費に含まれていることを理解しておく必要があります。

建物以外に費用が掛かる

新築で建てる場合、まず必ず発生するものの1つに外溝工事があります。外溝工事は、庭や駐車場をつくる費用のことで、ブロック塀なども該当します。

またこれまで家が建っていなかった土地を購入して家を建てるとなれば、水道や下水、ガス管などの引き込み工事も必要になります。

このように中古住宅では発生しない費用も余計に掛かってしまうことが多いのも、新築ならではのデメリットだと言えるでしょう。

入居までに時間が掛かる

土地探しや仕様決めなどを得て建物の建築工事が始まりますので、入居できるまでにかなりの期間が掛かってしまいます。

土地から探す注文住宅だと平均で1年。長い場合は計画~引渡しまでに2年くらい掛かってしまうケースもあります。

最初から1年先くらいを見据えてのマイホーム計画であればデメリットになることはありませんが、親の介護が必要になり同居をきっかけにマイホーム購入を検討する場合などは、1年や2年という期間がデメリットになることも珍しくありません。

その点、中古住宅であれば1ヶ月から2ヶ月もあれば、新居への引越しも済んでしまいますので、時期が限られている場合は新築より中古住宅を検討する人が多いです。

難しい土地探し

どこの地域にも生活環境が整っている、人気のエリアというものがあります。

しかし人気のエリアほど新たに売地が出ることは少なく、どうしてもそのエリアが良いのであれば土地が売りに出るまで何年も待たなければならないこともあります。

人気のエリアに限ったことではありませんが、立地の良い土地ほど売れるのは早く、新たに土地探しからマイホームを考える場合、どうしても希望のエリアで土地を探すのが難しくなります。

ハウスメーカーの中には土地探しが得意な業者もいるので、なかなか見つからず困っている人は相談してみることをおすすめします。

当サイトでは土地探しに強いハウスメーカーについてまとめた記事があるので、ぜひチェックしてみてください。

土地探しが得意なハウスメーカーをチェックする

中古一戸建てのメリットデメリット

一軒家はなにも新築だけではありません。中古住宅でも掘り出し物件は多数ありますし、なにより新築よりもリーズナブルな金額で購入することができます。

最近はDIYブームでもあり中古住宅を手頃な価格で購入し、自分たちの手で好みの家にリフォームすることを楽しむ人も増えています。

ここでは、中古一戸建てのメリットやデメリットについて考えていきたいと思います。

メリット

  • 物件を実際に見て購入できる
  • 売主から話が聞ける
  • 価格が割安
  • 固定資産税が割安
  • 家電や家具をもらえることも!

物件を見て購入できる

中古住宅の場合、自分の目で実際の物件を見て購入を検討することができます。

新築だと図面だけで家の中を想像して契約しなければならず、いざ建物が完成してみると思い描いていた雰囲気と違っていたなんてことも珍しくありません。

その点、中古住宅はたくさんの物件の中から、自分たちの希望に合う間取りの家を探すことができますし、実際の建物や間取りを見て決めることができるのは大きいメリットだと思います。

少しくらい希望と違っている箇所があっても、そこだけリフォームするという方法もあるので、新築に負けないくらい自分たち好みのマイホームを手に入れることもできます。

売主から話が聞ける

中古住宅の多くは、実際にその家に住んでいた個人が売りに出しています。

建物の損傷についても詳しく話を聞けますし、学校行事や生活環境についてもアドバイスしてもらうことができます。

実際にその家、その地域に住んでいた人だからこそ解ることはいっぱいあるので、直接本人から聞けるというのも中古住宅ならではのメリットです。

価格が割安

中古住宅のなかには、築5年以内の建てて間もない物件もあります。

例えば新築では到底手の届かなかった積水ハウスや大和ハウスのような、大手ハウスメーカーの家でも、築5年の中古住宅であれば十分に手が届く価格にまで値が落ちていることも珍しくありません。

新築住宅にはどうしても広告費や人件費などの費用も含まれており、建物本来の価値よりも割高な価格設定になっています。

それが中古住宅になることで純粋に建物としての評価価格になるので、同じ大手メーカーの家でも築5年ほどの物件であれば、新築時に比べて6割~7割ほどの価格で購入することができます。

固定資産税が割安

固定資産税は土地と建物の評価額を基準に算出され課税されます。

土地の価格が急激に上がったり下がったりすることはありませんが、建物の評価額というのは築年数が経過するごとに下落していきます。

ですので、築年数が経過している中古住宅であれば、それだけ建物の評価額も下がっており、固定資産税の課税額も安くなります。

家電や家具をもらえることも!

これは運の部分が強いのかもしれませんが、中古住宅の売主のなかには使わなくなった家具や家電をそのまま置いていってくれることがあります。

まだ十分に使える、ダイニングテーブルや食器棚。これだけでも買うとなればかなりの出費になるので、タダで譲ってもらえるのも中古住宅の特権です。

うまく交渉すれば、設置してあるエアコンや場所を取るドラム式洗濯機なども譲ってもらえることがあります。買うとなれば数十万円はしますので、物件見学のときに家具や家電はどうするのかも聞いておくと良いでしょう。

デメリット

  • 修繕費などのコストが掛かる
  • じっくり検討できない
  • 仲介手数料がかかる
  • 保証面に不安がある
  • 販売価格に注意が必要

修繕費などのコストが掛かる

築10年を超えている場合、思いのほか修繕費などのコストが掛かることもあるので注意しなければなりません。

オール電化のIHコンロや電器温水器などの寿命は15年前後だと言われていますので、購入後すぐに故障してしまい新品と交換となれば数十万円という出費になります。

また外壁の塗装、シロアリ対策も10年~15年を目処に再施工の時期となります。

築10年以降の中古住宅を購入するのであれば、なるべく近い時期に設備類を交換していたり、塗装やシロアリの再施工を済ませている家を探すのが良いかもしれません。

じっくり検討できない

中古住宅はとにかく早くに購入を決めた人に権利があるので、物件をみて良いなと思ってもじっくり考えながら検討する時間はありません。

とくに掘り出し物件は他の見学者も同じように購入を検討している可能性が高いので、なおさら時間の猶予はないでしょう。

結果的に購入を焦ってしまい、細部にまで目がいき届かず修繕などの費用が掛かる物件を買ってしまう恐れもあります。

一度手付けを払ってしまうと、いくら契約前でもキャンセルしてしまうと違約金を取られてしまうこともあるので注意しましょう。

仲介手数料がかかる

市場に出ている中古住宅の多くが、個人が不動産業者などに売却を委託している仲介物件です。

この場合、売買契約が成立することで、買主も売主も仲介してくれた業社に対して手数料を払うことになります。

仲介手数料は一般的に販売価格の3%+6万円に消費税で計算しますので、2,000万円の中古住宅を購入すると、仲介手数料として712,800円を支払うことになります。

ただし、売主が不動産業者や買取り業者になっている中古住宅は、一般の仲介物件とは違いますので仲介手数料は取られません。

保証面に不安がある

中古住宅の保証期間は一般的に1ヶ月~3ヶ月しかありません。築年数が20年を超えているような物件だと保証なしの現状渡しというケースも珍しくありません。

新築であれば法律によって最低10年の保証が義務になっているので、比較すると中古住宅の保証期間の短さに不安を感じる人も多いと思います。

基本的に個人間同士の売買であれば、保証の有無や期間は売主と買主が話しあって決めることになっています。

ですので、築30年くらいまでの中古住宅であれば、どんなに短くても最低1ヶ月の保証期間はつけてもらうことをおすすめします。

販売価格に注意が必要

通常であれば築5年の中古住宅でも3,500万円はするはずの地域で、3,000万円で売りに出ている中古住宅があったとします。

いっけん掘り出し物件のように感じますが、もしかすると何か問題を抱えている物件という可能性もあります。

このように通常の価格よりも大幅に値が下がっていればちょっと不審に思えるのですが、適正な3,500万円であれば購入してしまう人も多いのではないでしょうか。

しかし、その逆で適性価格だからあまり深く考えずに購入したけど、実際には違法建築の家であったり、将来的に建物を建て替えたりすることに制限がある調整区域に建つ物件という可能性もあります。

もちろんそれら不利益になることは、契約前にしっかり告知するように決められているのですが、建築用語は難しいのでさらっと聞き流してしまう可能性もあります。

そうなると本来2,500万円しか価値がない中古住宅を、相場と同じ3,500万円で購入してしまったなんてこともあります。

悪徳業者のなかには、騙す目的で訳あり物件を売りつけようとすることもあるので気をつけなければなりません。

まとめ

今回は新築と中古住宅の価格差やメリット・デメリットを解説してきましたが、とくに注意をしておきたいのが中古住宅を購入する場合です。

不動産業者の中には悪徳な商売をしているところも存在していますので、物件の良し悪しだけでなくパートナーを見抜く知識も必要です。

新築住宅は価格的に騙されたりすることは少ないのですが、自分が思い描いているようなマイホームを忠実に建ててくれる業者を選ぶことが大事になります。

騙す意図はなかったにしても、自分の考えが営業さんにうまく伝わらなければ、理想のマイホームは建ちません。そういった意味でも、建築会社や営業マン選びが大事になります。

とくに新築の場合は、建ててからも長い期間付き合いが続いていくので、本当に信頼できる業社にマイホーム建築を依頼する注意してください。

そのためにも、わずか1社や2社だけで比較検討するのではなく、なるべく多くのハウスメーカーや工務店などの話をきき、一番信頼できると思う業者をみつけるのがポイントになります。