IOTやAIを活用した住宅で暮らしはどう変化するのか?

IOTやAIを活用した住宅で暮らしはどう変化するのか?

近年、様々な分野でIOTやAIに関する技術の導入が急速に進みつつあり、その影響により世界は将来的に大きく変わると考えられています。

それはもちろん、住まいの分野においても同様ですが、ではそれは今、どんなかたちで普及しようとしているのでしょうか。また、どのような課題があるのでしょうか。

現在、暮らしや住まいづくりの中で見られるIOT・AIの導入事例をいくつか解説することで、それらの疑問への答えを探ってみます。

IOTやAIの住まいへの導入事例

まず、IOT・AIについての確認しておきましょう。

前者はInternet of Things(日本語では「モノのインターネット」)の略で、様々なモノがセンサーなどを通じインターネットに接続され情報交換を行い、相互に制御する仕組みのことをいいます。

AIは「人工知能」の訳。人の知能のような機能を持ち、機械によって実現するものです。

すでにチェスや囲碁、将棋などではプロを打ち負かすレベルにまで達していますし、クルマの自動運転などといったことまで幅広く活用されようとしています。

人型・非人型のロボットなどもどんどん開発されています。

要するに、例えばブレードランナーなど未来を描いた映画や小説、アニメのような世界が実現されつつあるわけで、そう考えると大変ワクワクしてきます。

AIスピーカー

そして、今現在で住まいの分野での代表例といえるものとして、昨年末から今年初めにかけてが普及が始まったAIスピーカーがあげられます。

これはセンサー技術の一つである音声認識により、ユーザーが問いかけるとその答えを教えてくれるものです。

AIスピーカーはGoogleAmazonLINEなど様々な企業が発売されており、既に利用されている方も多いのではないでしょうか。

現時点ではまだ機能が限定的ですが、AIスピーカーで制御可能な機器が増えると、私たちの暮らしの利便性はさらに高まりそうです。

そんなことを感じさせてくれる場を設けているのが大和ハウスです。

全国数ヵ所のモデルハウス(リビングや寝室)にGoogleの「Google Home」を設置し、近い将来の暮らしを体験できるようにしています。

googlehome

そこでは例えば、ユーザーはベッドの中からGoogle Homeに「OKグーグル、お休みの準備をして」と呼びかけると、自動でシャッターとブラインド(カーテン)が閉まり、照明も消えるなどという体験ができます。

つまり、Google Homeが住宅内にある機器の大元の制御装置「プラットフォーム」として機能しているわけです。

生活空間に限りなく近い環境の中にAIスピーカーを配置し、体験可能な場所はまだ少ないのが実情ですので、興味のある方は一度訪れてみてはいかがでしょうか。

パナソニック「HomeX」

Google Home などのAIスピーカーとは少し異なるアプローチで、そしてより統合的な「プラットフォーム」を目指す取り組みも見られます。

家電メーカー大手のパナソニックが開発した「HomeX(ホームエックス)」」がその代表例です。

homex発表会

通常、家電や設備は購入時の性能や役割以上のことはできませんが、HomeXはユーザーの利用のあり方をAIで把握することで家電・設備をコントロール、連携させ、従来以上の利便性を提供しようとする仕組みです。

例えば、冷蔵庫の中にある素材をHomeXが検知し、それで調理できるレシピを提案し、電子レンジでは特別な操作をせずに調理ができる、などということ。

そんなことができるようになれば、家事時間を短縮でき、ユーザーの生活により一層のゆとりが生まれますが、そうしたことが開発の狙いの一つです。

HomeX を最も象徴するものが「HomeX Display」です。

住まいには照明のスイッチのほか、録画機能付きインターフォン、給湯や床暖房など様々なコントローラーがありますが、これは見た目にもあまり良くありませんが、ディスプレイはそれらを一元管理する機能を有しています。

homexリビング

HomeX Displayは玄関やリビング、脱衣室、寝室などの複数箇所に配置されるため、上記のようなコントロールを全て、ユーザーがいる場所で行えるのが便利。

パナソニックが住宅などのスイッチ類製造の最大手であることから生まれた発想でもあるといいます。

料理のレシピを提案するのもこのディスプレイです。こちらもまだできることは限定的ですが、今後、パナソニックがIOT・AI制御が可能な商品を本格的に販売することで、さらにHomeXの可能性を広げることができるといいます。

AIスピーカーのような音声認識による制御機能のほか、HomeX Displayの機能そのものがスマートフォンのアプリとなり、スマートフォンでアップデートを行いながら、住宅全体の制御機能が実現することも視野に入っているといいます。

住まいの中に様々にあるリモコン類がスマートフォンに集約される可能性があるわけです。

これが実現すると、例えば「DVDプレーヤーのリモコンが見当たらない」など、イライラする機会を減らせるなど、生活上のストレスを減らせるのではないでしょうか。

ちなみに、「HomeX」の体験は現在、東京都世田谷区にあるパナソニックホームズの駒沢モデルハウスにおいて可能です。

IOT・AI、そしてパナソニックホームズの最新事例といえます。興味のある方はぜひ足を運んでみてください。

IOT・AIが普及するためのポイント

さて、何度もいいますが、AIスピーカーであれ、HomeXであれ、現状ではIOT・AI制御可能な家電などの製品は少ない状況です。

メーカー間の壁があり使用できないケースも想定されます。このあたりの解消が、住まいと暮らしのIOT・AI化の課題といえます。

また、より感覚的な使い方に対応できるようにすることも課題です。例えば、AIスピーカーでは「照明を点けて」呼びかけるだけでは動きません。

ちゃんと、「リビングの照明を点けて」と言わないとダメなのです。

ユーザーの視線や動作を関知し、「あれ」や「これ」といった表現で制御できるようにならないとより本格的な普及には至らないのではないか、というのが筆者が個人的に感じていることです。

そして、普及の根本的な課題は、「IOT・AIを駆使することで、ユーザーが不可欠だと感じるサービスをいかに提供するか」ということだと感じています。

逆にいえば、現状のサービスは「あったらいいよね」のレベルに止まっているというわけです。

IOT・AIにおいて、これまでに最も成功した事例はスマートフォンだと言われていますが、これは生活の中で必需品のポジションを獲得できたため、そうなったといえます。

ですが、AIスピーカーなどはまだそのレベルにはないと、筆者は考えています。

このほか、IOT・AI技術は情報をやり取りするものですので、そのセキュリティーをいかに確保するかといった問題もあります。

特に住まいは個人情報の固まりといえますから、情報の安全性の確保は欠かせないのです。

とはいえ、住まいにおいて、防犯や子ども・お年寄りの見守りサービスなどにおいてIOT・AI技術は必要不可欠な技術となりつつあります。

つまり、共働き世帯の増加や超高齢化社会への対応策として一定の存在感を発揮しようとしているわけです。

なお、見守りサービスなどをパッケージ化したシステムは、ミサワホームや前述の大和ハウスなどで既に商品化されています。

また、戸建て住宅だけでなく賃貸住宅の分野にも広がっています。

積水ハウスのIOT・AIの技術

ところで、IOT・AIの技術は今、住まいづくりの現場を変えようとしています。それらの技術を駆使した自動施工ロボットが現場に導入されようとしているのです。

具体的には積水ハウスは導入に向け試行段階にあります。

積水ハウスロボット

これは天井に石膏ボードを設置するためのロボットです。この作業は重量物を上向きで設置する作業であるため、作業者の身体的負担が非常に高く、施工品質を維持向上させる点でもネックになっていたのです。

ロボットは2台からなり、設計図やCADデータなどを元に連携し作業します。機構そのものは産業用ロボットのそれを応用したものです。

仮にこれが本格運用されるようだと、通常は作業できない夜間でも運用が可能となるなど、施工期間の短縮などが期待できます。

そもそも、住宅を含む建設業界は人手不足、高齢化の影響が深刻な分野です。このようにある特定箇所だけでも自動化することができれば大助かりなわけで、そうした背景からこのような取り組みが始まっているのです。

IOT・AI技術とは直接的には無関係ですが、積水ハウスではこのほか、天井などの上向き作業向けにパワーアシストスーツまで開発し、それを現場に導入しようと試みています。

パワーアシストスーツ

それくらい、人手不足は抜き差しならない状況となっているのです。

というのも、人手不足がもたらす工期の長期化や遅れなどは、企業の経営を大きく左右するため対応が喫緊な状況となっているためです。

このため、住まい分野のIOT・AI技術の活用と普及は、営業現場を含めた供給の部分から先に進んでいくものと考えられます。

いずれにせよ、住まいと暮らしの中でのIOT・AIの活用はまだまだ普及の端緒についたばかり。グローバル化や技術革新の進展と共に、今私たちが想像していないようなスタイルが構築される可能性が大いにあるといえそうです。

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