建築中のホームインスペクションにかかる検査費用

建築中のホームインスペクションにかかる検査費用

長年不動産業界に携わっていますが、最近よく住宅診断という言葉を耳にする機会が増えました。

知られていなかっただけで割と昔からあるサービスなのですが、耐震偽装や欠陥住宅がテレビ等で問題視されるようになってから、この住宅診断を利用する人も増えてきているようです。

住宅診断のことをホームインスペクションという言い方をすることもありますが、直訳すると「ホームインスペクション=家の検査・点検」となります。その名の通り、専門家に家の検査や点検をしてもらうことを住宅診断と言います。

これまで、中古住宅の売買時に住宅診断を利用する人が多かったのですが、最近では新築住宅の購入時にも当サービスを利用する人が増えていますので、今回は新築住宅時の住宅診断について解説していきたいと思います。

住宅診断の3つのパターン

新築住宅の住宅診断といっても、大きくわけると3つのパターンがあります。

  • 建売住宅を購入する前に相談・点検を依頼する
  • 注文住宅で建築途中に点検・検査を依頼する
  • 注文住宅で完成後の引渡し前に点検・検査を依頼する

やってもらう検査はどれも似たようなものですが、それぞれのシーンに合わせてお願いすることができるようになっています。

この住宅診断をお願いする業者は、建築依頼を検討しているハウスメーカーや建売業者とは、まったく関係がない第三者機関になるので、依頼するにあたって別途費用が発生します。

診断してもらう箇所にもよりますが、調査項目が20ページから40ページほどある調査報告書にて、診断結果を知ることができます。異常がある部分については住宅診断の専門家に詳しく説明してもらい、どのような対策をすれば良いのか具体的にアドバイスをしてくれます。

販売している側が提供している住宅診断を利用しても意味がありませんので、自分で選んだ会社に診断してもらうからこそ意味があります。

多少の費用が発生するのは仕方がないことですし、それに見合うだけの価値は十分にあると思います。

建売住宅を購入する前の相談・点検

建売住宅は、すでに建物が建てられている状態で売りに出されているので、この住宅診断の良さを最大限活用することができます。

もし管理人が建売住宅を購入するのであれば、住宅診断を利用してからでなければ購入はしないでしょう。

建売住宅の場合、注文住宅と違って建築途中の過程をみることができません。そのため、本当に説明されているような柱が使われているのか、基礎はしっかり対策されているのか、など不安な要素が多数あります。

しかし、この住宅診断(ホームインスペクション)を利用することで、実際に目に見えている部分だけでなく、床下や屋根裏まで点検・検査してもらうことができます。

このとき業者から施工図を出してもらい、本当に図面通りに作られているのかを、隅々まで調査してもらうことも可能です。

建売住宅の主な調査箇所

  • 室内=床・壁・天井・建具、床下、屋根裏など
  • 屋外=基礎、外壁、軒裏、屋根、バルコニーなど

調査箇所は業者によって異なりますし、オプション料金を払うことでさらに詳細な調査を依頼することも可能です。

注文住宅、建築中の点検・検査

一番おすすめするのが、この段階での住宅診断です。すでに建ってしまっている状態の家よりも、建築途中の家を診断してもらう方が利用価値が高くなります。

基礎や躯体(構造)部分が丸見えなので、設計図面や仕様表に沿って隅々まで点検してもらうことができます。

もし管理人が注文住宅を建てる側だとしたら、建築を依頼するハウスメーカーや工務店に、「自身で探した住宅診断会社に途中検査を依頼する予定です」と、ひとこと言っておきます。

そう伝えることで、業者側も手抜き工事は出来ませんし、それらの抑止力になるからです。

病院も同じみたいですが、大きな病院でガンの検査を受ける際に、先生に「どんな結果であれ、セカンドオピニオンを受ける考えがあります」とひと言いっておくことで、より慎重に検査してもらえるそうです。

もしハウスメーカーや工務店側が、「工事中に他社が立ちいるのは勘弁して欲しい」とか言うのであれば、そのハウスメーカーや工務店とは契約しないことを強くおすすめします。

第三者機関の検査や調査が入ることを嫌がる業者は、どう考えても信頼に値しません。検査を受ける病院が、「他の病院でのセカンドオピニオンは認めていません」と言ったら、その病院で検査を受けたいとは思わないはずです。

診断を受けるタイミングが難しい

ただ、建築中の住宅診断で難しいのが、「どの段階で調査を依頼するのか」という問題です。建築中といっても、基礎工事が始まって家が完成するまでに4ヶ月~6ヶ月くらい掛かるのが一般的です。

  • 基礎をしっかり見て欲しい=基礎を打った直後
  • 構造部分をしっかり調査して欲しい=上棟直後
  • 高気密・高断熱を調査してほしい=断熱材を入れる工事中

このように建築中といっても色々なタイミングがあるので、気になる部分を調査会社に伝え、最適なタイミングで診断を受けるようにしましょう。

建築中の点検や検査の費用

住宅診断の会社によって違いはありますが、一回の調査費用はだいたい3万円~8万円程度です。

費用はかさみますが、基礎、上棟、断熱時に、3度調査に入ってもらうのもありだと思います。着工~完工まで複数回の調査がセットになっていて、価格面も抑えられる調査会社もあります。

3回、6回、10回コースなどが用意されていることが多いのですが、料金はおおよそ3回コースで10万円~15万円程度、6回コースで15万円~25万円くらいになると思います。

注文住宅完成後の点検や検査

家が完成した後の点検や検査は、建売住宅の検査とほぼ同じだと思ってください。

お金を節約したいがために、建物が完成してから住宅診断を受けようと考えている人もいますが、建築途中の方が細かい部分まで見ることができるので、何倍もメリットがあります。

ですが、完成後の点検や検査も受けておいた方が良いです。

注文住宅の場合、建物の引渡し前に「完成建物検査」を施主と業者が立会いのもと行われるので、このときに住宅診断会社に同席してもらうのが一番心強いです。

完成後の引渡し前の点検・検査の費用はおおよそ5万円~10万円程度で納まるはずです。

住宅診断を実施する際の注意点

住宅診断は、安心できる家を手に入れるためにとても大事なのですが、いくつか注意点があります。主にハウスメーカーや工務店など、住宅会社とのやりとりでの注意点です。

どうのような注意点があるのか把握して、本来の目的から外れるような間違えた住宅診断をしないようにしましょう。

どこからが施主の実費負担になるのか

受け渡し前と引渡し後では、何がどう違うのかという質問を頂くことがありますが、新築住宅の場合は10年保証がついてますので、構造などに問題があれば無償で補修してもらえるようになっています。

ですので、費用的な問題というよりも、業者側の対応の違いでクレームとなるケースが多いように思います。

例えば、住みはじめてから何らかの不具合を発見したとします。もちろん業者側が保証で対応してくれるのですが、引渡し後の家の対応は後回しにされがちです。

規模が小さい工務店になればなるほど、人手不足によって後回しにされる傾向が強く現れます。何度催促しても、「商品がまだ届いてない」、「今ちょっと人手がいない」と言って、後回しにされてしまいます。

しかし、同じ箇所の不具合でも、これが引き渡し前であれば対応がまったく異なります。

その理由は、お金の支払いがすんでいるか、すんでないかということです。

補修が終わるまで残金の支払いはしないこと

一般的には、物件の引渡しと同時に、残金の支払いを完了するようになっています。不具合がある場合、それが補修されるまで残金の支払いを保留にすることができます。

しかし、業者側も未払い分の残金が入ってくることを念頭に入れて、仕入先などの支払い計画を立てているので、それが遅れると大変なことになってしまいます。

そのため支払い前だと、何よりも最優先事項として取り組んでくれるのですが、すでに引渡し後となれば、残金の支払いもすんでしまっていることになり、業者側としては後回しにしがちです。

ですので、どんなに些細なことでも、引き渡し前に指摘して補修してもらうことが大事ですし、すべての補修が終わるまで、絶対に残金の支払いをしないことが重要です。

良くありがちな事例としては、実際に住みはじめてから、壁紙やフローリングに傷が入っていたりするのを発見することもあります。

その時点でハウスメーカーに補修を依頼したとしても、「生活の中で入った傷なのでは?」と言われる恐れがあります。特に小さなお子さんがいる家庭などは、「子供がオモチャを落下させてついた傷」と思われてしまいます。

このような状況にならないためにも、引渡し前にプロの専門家に厳しい目でチェックしてもらうことが大事、ということです。

住宅診断調査を依頼することは事前に話しをしておく

建築中や完成検査時に、住宅診断業者に検査に入ってもらうときは、ハウスメーカー側にもあらかじめその事実を告げておくようにしましょう。

ハウスメーカー側に伏せておいて、抜き打ちで検査に入ってもらうことも可能なのですが、良好だった信頼関係が険悪になってしまう可能性があります。

第三者機関による途中検査を入れることを伝えておけば、手抜き工事などの予防にもなります。

ハウスメーカーとは、アフターや保証などで今後も長く付き合っていくことになるので、なるべく良好な信頼関係を築いておくのがベストです。ですので、なるべくなら事前に申告しておきましょう。

ハウスメーカーや不動産業者の言葉に騙されない

ハウスメーカーや工務店に、「住宅診断をお願いする」ことを伝えたら、「わざわざお金を払ってまで住宅診断なんてしなくても、今は第三者機関の住宅診断は無料で受けられるので心配いりませんよ」と言われることがあります。

しかし、業者側が言っている無料の第三者機関による住宅診断とは、「フラット35Sを利用するにあたり適合証明書を発行するための調査」であったり、「減税を受けるための長期優良住宅に適合しているか」などの調査のことを言っている可能性が高いです。

無料の調査や検査という言葉は嘘ではありませんが、今回紹介している住宅診断(ホームインスペクション)とは全く異なる調査です。それくらいはハウスメーカーや工務店、不動産会社側も当然わかっています。

なぜそういうことを言うのかは、説明するまでもありません。本当の住宅診断会社には、調査に入って欲しくないということです。

チェックされるのを嫌がる気持ちもわかりますが、住宅会社がそれではいけません。

フラット35Sの適合証明書発行や、減税の条件に適合しているかを調べる調査というのは、本当に簡易的な診断であり、今回紹介している住宅診断とは全然違う、ということは覚えておきましょう。

提携している住宅診断会社にも注意

ハウスメーカーよりも、工務店や不動産業者に多いのですが、住宅診断の話をすると「ウチの会社で提携している住宅診断の調査会社があります。料金も割引が受けられますから紹介しましょうか?」と言われることがあります。

その住宅診断の会社名を聞いて、ネットで検索してみたら、たしかにちゃんとした住宅診断の会社でした。通常の費用であれば1回75,000円の検査を、紹介であれば50,000円で受けることができると言われた場合、あなたならどうしますか?

管理人は迷わず断ります。

費用が安くなるのは魅力的ですが、その工務店や不動産業者と提携しているということは、どう考えても工務店や不動産会社寄りの住宅診断会社だと思ってしまいます。

悪い言い方をすれば、その住宅診断会社は、それらの不動産会社や工務店からお客さんを紹介してもらって、成り立っている可能性があります。だとしたら、悪い診断をするはずがないですよね。

ですので、料金などに惑わされず、本当に業者側とは何も接点がない「第三者機関の住宅診断会社」に依頼をするようにしましょう。

売却する際の付加価値にもなる

万が一家を売却することになってしまったときも、住宅診断をしたことがきっとプラスになるはずです。「建築時に第三者機関による住宅診断を入れた」という実例があれば、売却時の付加価値となるからです。

調査費用が30万円ほど掛かったとしても、もし家を売却することになったとき、30万円以上の価値で見返りがあると、管理人は考えています。

住宅診断(ホームインスペクション)のまとめ

マイホームを購入するときの第三者機関による住宅診断は、今や欠かすことができないものだと思います。もし管理人が、マイホームを買ったり建てたりする立場であれば、間違いなく100%住宅診断を入れるようにします。

費用は決して安くはありませんが、欠陥住宅のリスクを回避できると思えば、決して無駄な出費だとは思いません。

回数が増えればそれだけ費用もかさみますが、着工~完成引渡し時の検査までセット料金になっている業者もありますし、セットだと30万円前後の費用で収まるはずです。

「建築業者側とは何の接点もない第三者機関だからこそ、この住宅診断(ホームインスペクション)の本当の意味がある」ということは忘れず、先を見据えた選択をしていきましょう。

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