玄関を上がり框にするメリット・デメリット

一戸建て住宅の玄関を語るうえで、どうしても外せない個所があります。それは玄関部分の「上がり框(あがりかまち)」です。

ちょっと専門用語っぽく聞こえるかもしれませんので、具体的にどの部分か最初に触れておきます。

上がり框

出典:タグル住まい

おわかりでしょうか、この玄関土間と廊下の敷居部分のことを上がり框といいます。皆さんの家や実家にも、きっと上がり框があったと思います。

【目次】玄関を上がり框にするメリット・デメリット
  1. 上がり框は失敗談が多い個所
  2. 上がり框を決めるときのポイント
    1. 介護が必要な家族がいる
    2. これまでの住まいの高さを意識する
  3. バリアフリータイプにした失敗談

上がり框は失敗談が多い個所

ごく当たり前の部分のように思われがちですが、じつは注文住宅づくりにおいて、以外にも失敗談が多い部分の1つなんです。

上がり框といっても、実はその家ごとに全然高さが違ってたりします。

上記の写真はパッとみた感じでは、150mm前後くらいかなと思います。戸建て住宅の上がり框にしては、わりと低い部類に入るタイプです。

でも昔の家の上がり框って、もっと高いタイプが主流だったんですよね。

高い上がり框

出典:建築用語集

この上がり框だと高さが、だいたい300mm~350mmくらいはあると思います。これくらいの高さが昔の住宅では当たりまえでした。

上がり框の失敗談といっても、本当に単純で高さの問題につきます。

もっと高くしておけばよかった。という声もあれば、もっと低くしておくべきだったという声もあります。

つまり高いから失敗、低いから失敗ということではなく、自分たち家族のライフスタイルに合う高さの上がり框ではなかったことに対する、後悔が多い個所なんです。

上がり框を決めるときのポイント

今の上がり框ってわずか10mmくらいの高さもあれば、昔のように300mmくらいの高さの框を希望する家も珍しくありません。

ただ大手ハウスメーカーでは、上がり框の高さ標準は、おおむね150mm~180mmくらいになってることが多いです。

ではどうやって後悔しないために、上がり框の高さを決めれば良いのでしょうか。

ポイントは以下の2つです。

  1. 介護が必要な家族がいる
  2. これまでの住まいの高さを意識する

介護が必要な家族がいる

車椅子生活している家族がいたり、介護が必要な高齢者がいる家庭であれば、やはり上がり框の高さはなるべく低くしておくのが良いでしょう。

とくに車椅子利用者がいる家庭なら、ほぼ断差がない10mmや20mm程度の上がり框にしておくのがいいです。

むしろ10mmや20mmでも、上がり框といえるのか?という疑問はいったん置いておき、なるべく断差がないフラットタイプにしておくケースが多いです。

ですが、ただ単に高齢者がいるというだけで、断差が低いフラットタイプを選ぶのは必ずしも正しい判断だとはいえません。

高齢鞘の人は、上がり框部分に腰掛けて靴を履いたり、脱いだりするので、逆に上がり框が低いと使いづらい玄関になってしまう恐れがあるからです。

このような場合は、どうしても上がり框を低くしたいのであれば、腰掛けようのベンチを玄関に設置するなどの対策を取ることをおすすめします。

ベンチがある玄関

出典:feve casa

これまでの住まいの高さを意識する

注文住宅で上がり框の不満がでる人には、ある傾向が目立つことがわかっています。じつはこれまで賃貸や分譲マンションに住んでいた人たちから、上がり框に対する不満が出やすいんです。

理由もわかっており、賃貸アパートやマンション、そして分譲マンションの玄関を思い浮かべてください。玄関の上がり部分が低くなかったですか?

賃貸アパートや分譲マンションの上がり框は、平均すると50mm~70mmくらいしかないのです。

賃貸アパートや分譲マンションの玄関

出典:家の時間

この高さに慣れている人が、戸建て住宅に引っ越してきたら、標準的な150mm~180mmの上がり框であっても、やっぱり高いと感じるのは当然のことです。

しかしハウスメーカーの仕様決めのとき、「玄関の段差は標準タイプの150mmでいいですか?」と言われれば、「標準」という言葉に騙され、あまり深く気にすることなくOKしてしまいます。

そしていざ家が完成してみたら、「あれ?玄関の段差ってこんなに高いの?」って、ここではじめて失敗に気付きます。

このように上がり框1つとっても、注文住宅づくりって本当に難しいです。

上がり框の決め方でアドバイスしておくなら、

  • バリアフリーを望むのであれば、框の高さは家族で良く話しあって決める
  • バリアフリーを意識しないのであれば、なるべくこれまでの住まいの框の高さを参考にしておく

という2つです。

バリアフリータイプにした失敗談

失敗談といえるかわかりませんが、管理人が以前担当した施主の話しをしたいと思います。

その家族は30代前半のご夫婦と、幼稚園のお子さんが1人でした。ご主人の希望で、玄関はバリアフリータイプにし、玄関土間と廊下の段差は13mmにしました。

バリアフリータイプの玄関

出典:倉敷の注文住宅アウスホーム

実際の写真ではありませんが、だいたいこれくらいの段差です。

本当はフルフラットタイプをご希望だったのですが、さすがにそれでは靴についてる砂や泥が室内に入り掃除が大変なので、最低でも10mmくらいの段差はつけておくように説得しました。

引渡しから1ヶ月点検のときです。ご主人から「やっぱり玄関の段差は失敗だったかな」と言われたんです。まだフルフラットにこだわっていたのかと思ったのですが、その逆でした。

ご主人いわく、玄関の上がり框をほぼ無くしたことが失敗だというのです。理由を聞いてみると、「仕事から帰ってきても、なんかOFFモードにならないんだよね」と言うのです。

ご主人の解釈では、靴を脱いで玄関の段差を上がったときに、やっと家に帰ってこれた!という安堵感がないそうです。

つまり仕事モードとOFFモードの切り替えがうまく出来ないというのです。たしかに言われてみればそうかもしれません。

管理人の場合は、家に帰ってきて靴下を脱いだ瞬間にOFFモードになります。このONとOFFのスイッチは人それぞれなので、靴を脱いだ瞬間という人もいれば、最寄駅に着いた瞬間という人もいます。

このご主人の場合は、それが玄関だったのでしょう。普段は意識してなかったけど、玄関で靴を脱ぎ、上がり框をあがるという日常だった行動がなくなり、それでOFFモードへの切り替えタイミングを失ってしまったのだと思います。

ちょっと特殊な例かもしれませんが、他の施主からも同じように「なんか家に帰ってきたという気がしないんだよね」といわれたことがあります。玄関でONとOFFのスイッチを切り替える人は、あまり意識してないだけで、思ってるよりも多いのかもしれません。

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