親名義の土地に家を建てる際の注意点まとめ

親(親族)名義の土地に家を建てる場合の注意点

親名義の土地に家を建てる際には以下のような問題があり、実際に建てるかどうか悩んでいる人が多いのではないでしょうか。

  • 税金の問題
  • 住宅ローンの問題
  • 相続時の問題

そこで今回は、親名義の土地にマイホームを建てる場合の税金や住宅ローンについて分かりやすく解説します。

特に相続に関しては揉めるケースが多いので、トラブルにならないよう予め対策しておくことをおすすめします。

税金に関する問題

親(祖父母)名義の土地でも問題なくマイホームを建てることはできますが、ポイントになるのが土地の名義をどうするかです。

  • 親名義のまま家を建てる(借地)
  • 子供名義にして家を建てる(贈与)

一般的には親名義のまま借地として建てる方が得と言われていますが、土地名義人の年齢などによっても違ってくるので、一概にどちらが得とは断言できません。

土地名義人である親が60歳以上であれば「相続時課税精算制度」が利用でき、制度を利用した贈与という選択肢もあります。

逆に、土地名義人が60歳以下であるなら、借地として建てる方が得だと思います。

※相続時課税精算制度とは
2,500万円までの贈与に対して非課税とすることができる制度です。非課税といっても相続時に清算されるのですが、相続税が発生しないケースや相続税が少ない家庭で利用されています。

親名義のまま家を建てる(借地)ケース

親の土地を借りて家を建てる場合、無償で土地を借りるか、地代を親に支払うかでかかる税金は違ってきます。

無償で土地を借りることを「使用貸借」といい、個人間の使用貸借は贈与税の課税対象にはなりません。

しかし、親が亡くなり土地を相続する場合は相続税が課税されます。

一方、地代などお金を払って土地を貸してもらう場合は、地域によっては贈与税の課税対象になることがあります。

実は、土地を借りるのに権利金や保証金などのまとまったお金を払ったり預けてたりする慣習のある地域があるため、そこでは「贈与」とみなされ課税対象になることがあるので注意が必要です。

このように、無償で借りるとあまりややこしいことはないのですが、地代を払うことによって税金がかかってきたり、贈与税や相続税にも影響がでてくるので注意が必要です。

固定資産税の支払いについて

親の土地を借りて家を建てる場合は、親が土地にかかる固定資産税を支払い、子供が家(建物)にかかる固定資産税を支払います。

土地を使わせてもらっているのだから土地の固定資産税も子が負担したいという場合もあるかもしれません。

その場合、使用貸借なのでお金を払ってしまうと贈与になってしまうと思われがちですが、固定資産税は贈与税の対象にはならないため、子が親の代わりに固定資産税を払っても問題はありません。

子供名義にして家を建てる(贈与)ケース

親から土地を譲り受けて家を建てる場合、土地の価格が110万を超えていると贈与税が発生します。

贈与税の税率は非常に高く設定されているうえ、名義に変更する際に課せられる「登録免許税」と「不動産所得税」が必ずかかるので、多額な税金が課せられ困惑する人が多いです。

※登録免許税とは
不動産や建物を購入したときに登記をするのですが、その登記をする際にかかる税金がです。ちなみに登録免許税額の計算方法は課税標準×税率です。

※不動産所得税とは
不動産を取得したときにかかる税金で、都道府県が課税する地方税です。不動産を取得したときにだけ払わなければならないもので、取得後半年から1年すぎくらいまでの間に納税通知書が届きます。

しかし、一定の条件を満たせば先ほど説明した「相続時精算課税制度」を適用することができ、2,500万円以内であれば譲り受ける際の贈与税はかかりません。

ただし、親が亡くなったときに相続税として清算することになるので注意が必要です。

贈与税を払うほうがいいのか、相続時精算課税制度を活用するほうがいいのかというのは難しい問題ですので、税理士などの専門家に相談をしてしっかりと検討することをおすすめします。

 

実際に家を建てようと検討している人は、まずはハウスメーカー選びから始める必要がありますが、家づくりでの後悔の多くが「業者選びの失敗」となっています。

そのため、満足するマイホームを建てるためにも業者選びは慎重に行うをおすすめします。

家を建てる業者は、大手ハウスメーカー以外にも地元の工務店や設計事務所などたくさんあるので、なるべく多くのプランを比較するのことが、失敗しないためのコツです。

依頼する業者ごとに、得意な価格帯や間取りなどがあるため、単純に知名度だけで選んでしまうと失敗する確率が高くなります。

大まかな予算が決まっているなら、自分の希望額を中心として、その前後の価格まで含めて、一度カタログを比較してみるのが良いでしょう。

多少予算に幅を持たせてカタログを見比べることで、「どこを節約するべきか?」という点が見えてくるからです。

多少手間はかかりますが、ポータルサイトの「LIFULL HOME'S」に予算別のカタログ特集ページがあるので、それを利用すれば効率よく業者を比較できると思います。

実際のカタログなら、家族みんなで集まり見ながら相談できる、というメリットもあるので、上手に活用しましょう。

住宅ローンに関する問題

次に、親名義の土地に子供が家を建てる場合、「住宅ローンを借りることができるのか」「親名義であることから土地を担保にすることができるのか」など様々な疑問を持つ方が多いのではないでしょうか。

たしかに住宅ローンを借りる予定の方は気をつけなければならないことがあるのも事実です。

そこで、ここからは住宅ローンに関する疑問や注意点を分かりやすく解説するので参考にしてください。

親名義の土地で住宅ローンは組めるのか?

通常、住宅ローンというのは土地と建物を担保にして借りるものなので、親名義の土地であれば担保割れをしてしまい、住宅ローンを借りることはできないと考えてしまいます。

しかし、例え親名義の土地であっても、通常と同じように住宅ローンを借りることはできます。

土地の名義人は基本的に二等親までなら、その名義人のままでも住宅ローンは借りられるようになっています。

一等親が親兄弟で、二等親は祖父母や孫にあたります。ですので親名義でも、祖父母名義の土地でも住宅ローンは問題なく借りることができます。

ただし、子の自己資金が少ない場合は住宅ローンの審査ではマイナスとなってしまいますので、自己資金を貯めておくことも忘れないでください。

ローンを組む際の注意点

上記で住宅ローンを借りることができると言いましたが、例外もあります。それは親名義の土地がすでに別の担保として設定されている場合です。

住宅ローンを組むためには親の土地を担保設定することがほぼ必須となっているので、この場合は住宅ローンを借りる際の担保として設定することは難しくなってきます。

住宅ローンの手続きで行き詰まらないように、事前に別の担保設定をしていないかどうかを確認しておいたうえで、自己資金をしっかりと貯めておきましょう。

そしてもう一つ、住宅ローンを払い終わるまでは土地も建物も好きに名義を変えることはできないので注意してください。

つまり名義が変えられないことで、相続時に兄弟間で揉める原因となることが多いです。

また、親名義の土地だと住宅ローン融資の際、その土地名義人の連帯保証人を要求されることもあります。

そうなると、いざ住宅ローンを滞納すると家を取られるだけでなく、親御さんにも迷惑がかかってしまうので注意が必要です。

親が亡くなった場合の相続問題

ここで親の土地に家を建てた場合、一番問題となりそうなのが相続問題ではないでしょうか。

兄弟がいる場合は、相続で揉める可能性が高くなります。

親御さんが健在のうちに遺産分与について話しあっているのであれば揉める可能性は低いですが、何も相談なく親御さんが死去してしまうと兄弟間の相続問題へと発展してしまいます。

特に注意が必要なのが、預貯金がなく財産が不動産のみのケースです。

なぜなら、その場合はすでに家が建っている土地のみが相続財産となるからです。

すでにその土地には家が建ってしまっているため、土地を分けることになっても兄弟姉妹からすると利用価値がありません。

その場合には金銭で解決することが多くあり、そのことで争いが勃発してしまう可能性が高いのです。

このように、兄弟姉妹がいる方が親の土地に家を建てるのであれば、いざ相続となったときにどのように財産を分配するか、土地名義人が健在のうちにちゃんと話しあっておくことが相続での揉めごとを回避する一番有効な手段となります。

まとめ

ここまで、親名義の土地に家を建てる場合の税金や住宅ローン、相続の問題について解説してきました。

親の土地を借りて家を建てるのか、譲ってもらって家を建てるのかでかかってくる税金の種類も違いますし注意するべき点も異なります。

実際に、親名義の土地に家を建てたいと考えている人は、ハウスメーカーや工務店のカタログを取り寄せてどんな家が建てられるのか検討してみてください。