注文住宅に吹き抜けを付ける場合の価格や構造の注意点

注文住宅の要望でかなりの割合で出てくるのが「吹き抜けってどうですか?」という話しです。とくに奥様から吹き抜けに関する質問が良くでます。

やっぱり吹き抜けってオシャレなイメージがあったりするんでしょうね。逆に男性から吹き抜けの話しがでるときは、「開放感のある家にしたい」という場合が多いです。

まとめると、吹き抜けって開放感があってオシャレなイメージだけど、「冷暖房が効きづらい」とか「予算が高くなる」など、あまり良いイメージを聞かないけど、実際のところどうなの?ってことなんですね。

そこで今回は注文住宅で要望が多い、吹き抜けについていろいろと話しをしていきたいと思います。

【目次】注文住宅に吹き抜けを付ける場合
  1. 吹き抜けに対する考え方
  2. 吹き抜けをつくる費用相場
    1. ローコスト住宅に注意
  3. 吹き抜けをつくるメリットとデメリット
    1. メリット
    2. デメリット
  4. 注意すべきは「家の強度」と「寒さ対策」
  5. まとめ

吹き抜けに対する考え方

吹き抜けってオシャレだし、マイホームを建てるなら吹き抜けのある家がいいなぁ。と漠然と考える人がほとんどだと思います。実際吹き抜けについて、どこまで知ってるのでしょうか?

もし玄関部分のうえを吹き抜けにした場合、その部分の坪単価はどう計算するのだろう?
16帖のリビングの一部を吹き抜けにしたら、エアコンはどれくらいの容量のやつを設置するのが良いのだろうか?
このように、吹き抜けについて質問されたとき、あなたはどくらい答えることができますか?

あまりにも当然のことをいいますが、押入れがないと収納に困る。
和室がないと仏壇の置き場に困る。
窓がないと採光が取れず、家の中が暗くなるので困る。

このように、家の間取りや設備には無くてはならない理由があります。しかし吹き抜けに関しては、無くても生活に支障をきたすような懸念材料は見当たりません。あえて無理やり何かあげるとすれば、「吹き抜けがないと、リビングが狭く感じてしまう」くらいでしょうか。

つまり無くても困らないけど、可能なら欲しいというのが吹き抜けです。わかりやすく言うなら、大理石の玄関と同じようなもので、いわば1つの贅沢品です。

そして最初に言っておきますが、吹き抜けはメリットよりも、圧倒的にデメリットとなる部分が多いことも理解しておいてください。

それを承知したうえで、それでもやはり吹き抜けが欲しいというのであれば、それはマイホームに対するあなたの理想というか、夢なのでしょうから、多少費用的に無理をしてでも設置しておくべきだと思います。

いざ家を建ててしまって「やっぱり吹き抜けをつけておけば良かった」と後悔しても、建設が終わってしまってからはどうしようもありません。

吹き抜けをつくる費用相場

まずは吹き抜けを設置するときの費用について話しをしていきたいと思います。

率直に聞きますが、吹き抜けをつくるのに、どれくらいの費用がかかるかご存知でしょうか?そもそも吹きぬけ部分は、坪数に換算されるのでしょうか?

結論から先にいってしまうと、吹き抜け部分を坪数に換算するかどうかは、ハウスメーカーによって考え方が違います。

多くのハウスメーカーは、吹き抜けの坪数は0.5坪として計算します。つまり6帖分のスペースを吹き抜けにするのであれば、2帖が約1坪なので、3坪分の半分である1.5坪が坪単価に反映されると考えてください。

そう考えると1坪60万円のハウスメーカーであれば、6帖分の吹き抜けを作るのに、約90万円ほどの費用がかかる計算です。

床と天井はないけど、壁は必要だから1坪あたりの単価も半分という考え方がピンとくるかもしれませんね。

開放的な吹き抜けリビング

出典:SUVACO

ローコスト住宅に注意

吹き抜けの設置費用は、坪単価の2分の1程度だと言いましたが、ハウスメーカーによっては、吹き抜け部分も丸々坪単価として計算する場合があります。

こちらで名前を出して申し訳ないのですが、ローコスト住宅として有名なタマホームなどがそうです。

これはタマホームに限ったことでなく、ローコスト住宅といわれる多くの会社が同じように、吹き抜け部分も1坪として坪単価に含めることが多いと言われています。

さすがに床も天井もないのに、まるまる1坪として建築費に充当されるのは、ちょっと納得いかないですよね。

ですので、ハウスメーカーなどのモデルハウスを見学にいくとき、「こちらの吹き抜けは1坪として費用に含まれるのですか?」と尋ねてみましょう。

そこで営業マンから「はい、1坪として計算されます」という答えがでしたら、次は「床も天井もないのに、どうして1坪分の費用がかかるのですか?」と質問してみてください。

ここでしっかりと納得できる説明をしてくれるか、ただ言葉を濁すだけかで、その営業マンの質を伺うことができます。

吹き抜けをつくるメリットとデメリット

この記事の冒頭でも、吹き抜けはメリットよりも、圧倒的にデメリットとなる部分が多いという話しをしました。

そこでここでは具体的にどんなメリットがあり、どのような部分がデメリットなのかについて話しをしていきたいと思います。

メリット

よく言われる吹き抜けのメリットには以下のようなものがあります。

  • 開放感があり、家を広く魅せる効果がある
  • 日光を採り入れることで、明るい部屋にできる
  • 家族の存在を身近に感じることができる

開放感があり、家を広く魅せる効果がある

1階部分の天井がなく、上は抜けているので広い空間を演出することができ、かなり開放感がある部屋づくりができるのが、吹き抜けの最大の魅力です。

どうしても敷地の問題で広いリビングを取れない場合など、吹き抜けにすることで、圧迫感を感じないリビングにすることができたりもします。

人間の視覚というのは、横の広さと縦の高さによって、広い狭いという認識をしていると言われています。そのため横の広さが確保できないときは、必然的に縦の高さによって開放感を出すしかありません。

日光を採り入れることで、明るい部屋にできる

吹き抜け部分には採光用の窓を設けるので、部屋全体に光を取り込むことができます。

昼間はリビングなど、照明をつけずとも明るい自然光を採り入れることができるので、すごく柔らかみのある空間をつくることができます。

自然光はゆっくりとくつろぐリビングはもちろん、とくに暗くなりがちな玄関やキッチン部分などにも効果的です。

とくに家が密集しているような地域では、いくらリビングに大きな窓を設置しても、となりの家が妨げとなり自然光を多く採り入れることができません。

その点、吹き抜けであれば、たとえ隣家との距離が近くても窓を天井付近に設置するので、自然光を採り入れることが可能です。

家族の存在を身近に感じることができる

リビングを吹き抜けにすることで開放感を出すことができ、そこに自然と家族が集まる傾向があります。

さらに吹き抜けは1階と2階が筒抜けの状態なので、どこにいても常に家族の存在を感じることができ、とても安心感が生まれるといわれています。

ちょっとした用事のときでも、わざわざ2階まで上がらずとも、1階からちょっと声をかければ、1階と2階でコミュニケーションが取れるのも、吹き抜けだからこそのメリットだと言えます。

とくにお子さんが小さい家庭だと、2階の掃除をしていても、1階にいる子供の様子をつねに伺うことができるので安心ですよね。

デメリット

吹き抜けのデメリットには、以下のようなものがあります。

  • 音や臭いが家全体に伝わりやすい
  • 掃除やメンテに手間が掛かる
  • 冷暖房の効きが悪くなる
  • 構造的な問題

音や臭いが家全体に伝わりやすい

吹き抜けは家全体に音や臭いが伝わりやすいものです。

これはメリットでもありデメリットでもあるのですが、あまり聞かれたくない電話の会話だったり、テレビの音などが気になるという意見が多く挙げられています。

吹き抜けのため、子供がテスト期間中や受験生だったら、テレビをみるのも、電話をするのも遠慮してしまうというケースもあるでしょう。

料理の臭いが家全体に充満してしまうのも、あまり良いことだとはいえません。

さらに料理といえば、油汚れが2階にまで達してしまうことも吹き抜けの特徴の1つです。そのためキッチンやリビングに吹き抜けがある家では、2階の壁紙ですら油汚れが付いてしまう状態です。

掃除やメンテに手間が掛かる

油汚れの話をしましたが、これが吹き抜け部分の壁だったり、採光を取り込む天窓だったらどうでしょう。そう簡単に掃除できる場所でもないですし、専門の業者に依頼するという家庭も多いと思います。当然吹き抜け部分の清掃などは、特殊作業となるので料金も高いです。

かといって自分でやろうと思っても、単純な作業では終わらないので、日常的に掃除や点検をするのは厳しいでしょう。

ですので吹き抜け部分の照明は、オシャレで可愛いとかで選ぶのではなく、寿命が長いLED照明一択だと思います。

冷暖房の効きが悪くなる

吹き抜けの最大のデメリットとも言われることが多いのが、この冷暖房などの効率の悪さです。たしかにちょっと考えただけでも、リビングを吹き抜けにすると暖房や冷房の効きが悪くなるのは想像できます。

結果容量の大きなエアコンを買わなければならず、出費も多くなりますし、それだけ電気代も高くなります。

とくに暑い部屋の温度を下げるより、寒い部屋の温度をあげるほうが大変なので、強く実感するのは冬場だと思います。

ただし別の考え方もあります。

今の住宅の多くは高気密・高断熱設計になっていると思いますが、高気密・高断熱住宅というのは、空気を家全体に循環させ、屋内の温度を一定にする必要があり、そう考えると吹き抜けがある住宅のほうが、本来の意味での高気密・高断熱住宅の考えには近いのかもしれません。

構造的な問題

大きな地震が来てしまったとき、家の中で被害を受ける場所として多いのが階段部分だったりします。理由は階段部分には1階と2階をつなぐため、2階部分の床がないからです。

つまり吹き抜けもこれと同じで、2階部分の床がないため、大きな地震がきてしまったとき、家の強度そのものに不安を感じてしまいます。

もちろんしっかりと構造計算され、建築許可の確認申請も通ってるのですから、ちょっとやそっとの地震には耐えてくれるでしょう。しかし震度5や震度6クラスの大きな地震がきてしまったとき、やはり吹き抜け部分のモロさを心配してしまいます。

管理人も少しくらいは構造的なことについて、知ってるつもりですが、家というのは柱が多ければ揺れに強いといわれていますが、それは縦揺れに関しての話しです。

大きな地震となれば、縦揺れだけでなく水平な揺れも襲ってくるので、そうなると床の存在がとても重要となります。わかりやすく言えば、床が少ない家は水平な揺れに対して弱いということです。

注意すべきは「家の強度」と「寒さ対策」

吹き抜けの家を建てる場合、注意するべき点は「家の強度対策」と「寒さ対策」だといえます。

家の強度で注目しておきたいのが「直下率」です。直下率というのは、1階と2階の壁や柱の位置が合致してる点がどれだけあるかを意味しています。1階と2階の柱や壁の位置がズレていれば、それだけ揺れに弱い住宅だといえます。

揺れに強い住宅を建てるためには、この直下率に気を配っておくようにしましょう。とくに大きな吹き抜けを設置したいのであれば、絶対に無視できないポイントです。

そしてもう1つの寒さ対策ですが、これは天井部分にシーリングファンを設置したり、サーキュレーターなどを購入して、冷暖房が家全体にいきわたるようにしてください。

基本的に今は高気密・高断熱住宅の場合が多いので、これだけでもある程度の効果は望めると思います。

ただ勘違いしないで欲しいのが、家の断熱性能や機密性能を高めても解決しないということです。

この問題は暖房熱などが、家の下層部や上層部に滞留してしまうことで起こるので、機密性や断熱性を向上させても、それで解決できるような問題とは違います。

まとめ

吹き抜けはたしかにオシャレですし、お客さん受けも良いのは確かです。

管理人個人の意見としては、玄関のように窓を設置しづらく、暗くなりがちな場所に吹き抜けをつくるのは悪いことだとはおもいませんが、リビングの吹き抜けは強度の問題やメンテナンスのことを考えると、あまり賛成とはいえません。

ただ不動産業者で営業マンをしていたとき、吹き抜けがある家の売却査定をしたことが何度もあります。そんなとき吹き抜けはプラス査定にしてました。理由は購入者受けが良いからです。吹き抜けは今でも根強い人気がある、間取りだといえます。

吹き抜けの設置を希望するのであれば、今回紹介したように、強度対策と寒さ対策だけはしっかりと考えておくようにしましょう。

ページトップ