吹き抜けのある家の坪単価と間取り例

吹き抜けのある家の間取り例と坪単価の相場

吹き抜けのある家を建てようとしている人向けに、坪単価の相場と実際の間取り例を紹介します。

おしゃれで人気の吹き抜けですが、間取りで採用する際にはメリットデメリットを把握しておかないと後悔するので注意してください。

実際に吹き抜けのある家を建てる場合は、得意な業者を探すのがポイントです。なるべく多くの業者のプランを見比べて決めるようにしてください。

吹き抜けのある家の坪単価と間取り例

吹き抜け

出典:http://sfc.jp/ie/style/detail/2802

吹き抜けを作るにあたり、最初に気になるのは費用的なことだと思います。

ですが、「積水ハウス 吹き抜け価格」、「ダイワハウス 吹き抜け予算」で検索しても、ハウスメーカーのサイトはもちろん、個人のブログなどでも明確に金額のことを書いているサイトは、なかなか見つけることができません。

理由は簡単です。どのハウスメーカーでも、「吹き抜け1坪=○○万円」という明確な金額が決まっていないからです。

大きく分類すると、「坪単価と同じ」「坪単価の2分の1計算」「個別見積り」という3つの回答になるはずです。

坪単価はどれくらいなのか?

吹き抜けにすることで、当然2階にあるはずだった床がなくなります。

ですので、家の延床面積が削られ、その分だけ建築費を浮かせることができると考えると思いますが、この考えは間違いです。

例えば坪単価50万で、40坪の家を建てるなら、本体の工事費は40坪×50万=2,000万円となります。

ここで2階の床面積を減らすため、8帖のリビング上部をすべて吹き抜けにします。

吹き抜け

単純計算なら、これで2階部分の8帖(4坪分)の建築費が浮くはずです。ですが、提示された見積り価格は2,000万円のままの場合が多いです。

仮に多少安くなっていたとしても、50万円の4坪分200万円ではなく、その半分の100万円ほどではないでしょうか。

吹き抜け

出典:https://www.ibaraki-heim.co.jp/interview/report/detail/000319.php

吹き抜け工事は手間が掛かる

吹き抜けにして2階の床をつくる手間が省けたとしても、それと同じくらい工事の手間が掛かるのが吹き抜けです。

吹き抜けをつくるための、足場も組まなければなりませんし、断熱対策や手摺り、廊下の設置も必要になるからです。

価格はハウスメーカーによって違う

ハウスメーカーによって吹き抜けに対する費用は異なります。

冒頭でも書いたようにほぼ坪単価と同じ費用のハウスメーカーもあれば、坪単価の2分の1と明確に決めているハウスメーカーもあります。

これは家の構造や吹き抜けの大きさによっても違ってくるので、一概に○○円とはできず、小さな工務店などは別途見積りとしていたりします。

ですので、検討しているハウスメーカーの担当者に「リビング上部を6帖分ほど吹き抜けにしたいのですが予算的にどうなりますか?」と直接確認するようにしてください。

吹き抜けのメリットデメリット

ここからは吹き抜けに対するメリット、デメリットについて解説してきますが、その前に理解しておいて欲しいことがあります。

  • 押入れがないと収納に困る
  • ベランダがないと洗濯物の干し場に困る
  • 窓がないと採光が取れず家の中が暗くなるので困る

このように、家の間取りや設備には無くてはならない理由があります。しかし吹き抜けに関しては、無くても生活に支障をきたすような懸念材料は見当たりません。

つまり無くても困らないけど、できれば欲しいというのが吹き抜けになるので、設置する際のデメリットもしっかり理解しておく必要があります。

メリット

  • 開放感があり、家を広く魅せる効果がある
  • 日光を採り入れることで、明るい部屋にできる
  • 家族の存在を身近に感じることができる

開放感があり、家を広く魅せる効果がある

1階部分の天井がなく、上は抜けているので広い空間を演出することができ、かなり開放感がある部屋づくりができるのが、吹き抜けの最大の魅力です。

どうしても敷地の問題で広いリビングを取れない場合など、吹き抜けにすることで、圧迫感を感じないリビングにすることができたりもします。

日光を採り入れることで、明るい部屋にできる

吹き抜け部分には採光用の窓を設けるので、部屋全体に光を取り込むことができます。とくに暗くなりがちな、玄関やキッチン部分を吹き抜けにするのも効果的。

とくに家が密集しているような地域では、いくらリビングに大きな窓を設置しても、となりの家が妨げとなり自然光を多く採り入れることができません。

その点、吹き抜けであれば、たとえ隣家との距離が近くても窓を天井付近に設置するので、自然光を採り入れることができます。

家族の存在を身近に感じることができる

吹き抜けは1階と2階が筒抜けの状態なので、どこにいても常に家族の存在を感じることができ、とても安心感が生まれるといわれています。

また、リビングを吹き抜けにすることで開放感を出すことができ、そこに自然と家族が集まる傾向があります。

デメリット

  • 冷暖房の効きが悪くなる
  • 音や臭いが家全体に伝わりやすい
  • 掃除やメンテに手間が掛かる
  • 構造的な問題

冷暖房の効きが悪くなる

吹き抜けの最大のデメリットとも言われるのが、この冷暖房の効率の悪さです。

対策としては断熱性能を高くしたり容量の大きなエアコンを買わなければならず、出費も多くなりますしそれだけ電気代も高くなります。

光熱費の目安としては冷暖房を使わない4月や5月の平均を1万と仮定した場合、冷房を使う夏場で1.3~1.5倍、暖房を使う冬場だと1.8~2.0倍くらいを想定しておきましょう。

吹き抜けが有る無しでは、大きく違っても月1,000円程度だと思われます。対策としては、やはり高気密・高断熱住宅を意識した家づくりをするのが一番です。

逆の考え方をすると、高気密・高断熱に自信があるハウスメーカーは吹き抜けを薦めてきますし、自信がないハウスメーカーは吹き抜けに否定的だったりするので、これもハウスメーカーを選ぶ1つの指標にすることができます。

音や臭いが家全体に伝わりやすい

吹き抜けにすることで、家全体に音や臭いが伝わりやすくなります。

あまり聞かれたくない電話の会話もあるでしょうし、テレビの音などが気になるという意見も多く、子供がテスト期間中や受験生だったら、テレビをみるのも、電話をするのも気を使わなければなりません。

また料理の臭いが家全体に充満してしまうのも、あまり良いことだとはいえません。

対策としては、2階部分にドアを1つ設置することで、音や臭い問題を軽減できる場合もあります。

吹き抜け臭い対策

出典:https://madori.archi21.co.jp/2011/07/020/

例えばこのような間取りの吹き抜けであれば、以下の図の赤線の箇所に、新たにドアを1つ設置します。

吹き抜け臭い対策

このドアを設置することで、2階に料理の臭いが広がることを予防できますし、防音としての役割もしてくれます。

もちろん開放感が魅力の吹き抜けですので、そのメリットを軽減してしまうことにもなりますが、この間取りの場合は吹き抜けだけでなく、リビング階段もあるので、かなり高い効果が期待できると思います。

掃除やメンテに手間が掛かる

「吹き抜け部分の窓は、どれだけ汚れても掃除はしない」と割り切ることができるのであれば良いのですが、やはり多くの人は窓や照明の汚れは気になるものです。

しかし、吹き抜け部分は手軽に掃除できるような部分ではありません。

窓1つ掃除するにも脚立を用意しなければなりませんし、構造によっては個人で掃除できないため、専門のクリーニング業者に依頼しなければなりません。

対策としては多少費用が高くても、寿命の長いLED照明を設置するようにしましょう。

構造的な問題

大きな地震がきたとき家の中で一番被害を受ける場所は階段で、理由は床がないため構造的に弱いからです。

吹き抜けも階段と同じで、構造的に弱くなります。家というのは柱が多ければ揺れに強いといわれていますが、それは縦揺れに関しての話しです。

大きな地震となれば、縦揺れだけでなく水平な揺れも襲ってくるので、そうなると床の存在がとても重要になります。

対策としては、吹き抜けを設置することで耐震性能が落ちたりしないかしっかりと確認するようにしてください。

ちなみに吹き抜けを設置することで耐震等級3が等級2に落ちることは良くあります。

どうしても構造的に不安を感じるようでしたら、下図のように吹き抜け部分に梁(化粧梁)を入れることで、家の強度を高めることができるので相談してみてください。

梁をいれることで、梁部分に照明を設置できるようになり、デメリットの1つでもある照明の交換や清掃の問題も同時に解決できるようになります。

化粧梁 吹き抜け

出典:https://www.ichijo.co.jp/lineup/search-img/detail.php?bid=-1&eid=111

まとめ

吹き抜けはたしかにオシャレですし、できれば採用したいと考える人は多いと思います。

玄関のように窓を設置しづらく暗くなりがちな場所に吹き抜けをつくるのは良いかも知れませんが、リビングなどの大きな吹き抜けは強度の問題やメンテナンスのことをしっかり考慮しておきましょう。

ただ不動産業者で営業マンをしていたとき、吹き抜けがある家の売却査定をしたことが何度もあります。

査定をする際に吹き抜けのある家は「プラス査定」にしていました。理由は吹き抜けは今でも根強い人気がある間取りで、購入者受けが良いからです。

吹き抜けの設置を希望するのであれば、今回紹介したように、ハウスメーカー選びはもちろん、強度や冷暖房の対策だけはしっかりと考えておくようにしましょう。

あとはメリット・デメリットを家族と相談した上で、自分の予算内に収まるかどうかを冷静に判断してから決めればよいと思います。